・同期が転職したら年収3割もダウンと聞いて転職できないと思った
・今の仕事に満足できないから転職してキャリアアップしたいけど自信が持てない
社内の評価がすごく高い人が転職したけど年収もポジションも下がってしまった話は意外とよく聞きます。
普通社内の評判が良い人は優秀で転職に失敗するなんて考えられない人と思うのが普通ですからちょっとびっくりしますよね。
なぜこんなことが起こるのでしょうか?
一言で言えば、社内の評価と市場価値(自分の相場)はイコールではないということです。
あなたの仕事が所属する部署や会社で評価されていたとしても、それは会社の中だけの需要かもしれません。
でも、一歩社外に出るとニーズが無かったり、あったとしても十分足りていてレアでもなんでもない、すぐに手に入るものであれば高い値段=年収にはならないんです。
この記事ではこうした社内の評価(社内価値)と市場価値の違いやギャップを見つけて、転職成功率をどうやって上げるかについて解説します。
あなたの会社でも明日構造改革という名の黒字リストラが発表されてあなたも肩を叩かれるかもしれません。
会社に運命を委ねるのではなく、いつでも自分の意思でキャリアを選択するための準備としてこの記事を役立てていただければ嬉しいです。
社内評価と市場価値の違い
最初に社内評価と市場価値の違いを確認します。
社内の評価はふつう次の3つの内容で決まります。
順番に内容について解説していきますね。
上司の評価
上司の評価はあなたの社内の評価を決める中心的なものです。
内容としては、働き方、勤務態度、業績への貢献、スキル、経験などが一般的で、社風や派閥の力なども反映される場合がありますね。
同僚の評価
上司の評価同様重要な社内評価の基準が同僚のあなたへの評価です。
リーダーシップやチームワークと行った形で上司からの評価にも反映されるポイントになりますね。
例えばスキルが’高くて経験も十分あり、顧客評価もよいベテランエンジニアはどのプロジェクトからも引っ張りだこです。
よく「優秀な人に仕事は集まる」と言いますが、これは自然な流れですね。
顧客の評価
あなたの社内評価に一番影響するのは顧客からの評価・評判です。
どんなにスキルが高く経験があっても、全く顧客に評価されなかったり、顧客とぶつかって問題ばかり起こしている人の評価は悪いですよね。
そんな働き方をしているとどんどん暇な仕事に追いやられて、気がつけば全く関係のない部署に異動なんてことになりかねません。
実力と顧客評価のバランスが取れていることは、社内評価を高め維持するための絶対条件です。
社内評価が高いから市場評価も高いとはいえない
ここまで解説してきたところで「社内評価の高い人の市場価値が低いということは起こりにくいのでは?」と思う方がいるかもしれません。
スキルがあり、実績があり、経験があり、顧客評価も高い人の市場価値がなぜ落ちてしまうのか?
それは次のようなパターンです。
こうした場合、社内での評価がどんなに高くても、社外に出るとガクッと価値が下がってしまうことは想像できると思います。
市場原理はとても残酷なものなのです。
社内評価は会社だけの基準、市場評価は相場です。
会社で必要かどうかと市場が求めているかどうかは全く別のものです。
これを常に意識してスキルやキャリアをチェックしておかないと、いざ転職活動を始めても応募できる求人が全くないということは十分にあり得る話なのです。
ジョブ型人事制度では市場価値とのギャップが起こりにくい
こうした社内評価と市場価値のギャップは年功序列・終身雇用の人事制度を取る会社で起こりやすいと言えます。
一生を一つの会社で終えることを想定している場所では、社内評価だけで十分だからです。
一方、ジョブ型が求める人材は、専門家として常に市場での価値をベースに自分でキャリアをデザインして価値を上げていける人です。
社内の異動や昇進ではなく転職をキャリアアップの手段として考えるジョブ型キャリアは、仕組みとして市場価値とのギャップは生まれにくいといえます。
終身雇用・年功序列の人事制度の会社で働いている方は、今すぐ自分の評価と市場価値にギャップがないかを確認して、黒字リストラの対象になるなど、最悪に備える「プランB」を作っておくことを強くおすすめします。
市場価値を決めるものが何かについては「転職で「市場価値の高い人材」とは?あなたの値段を決めるものはコレ!」で解説していますので、興味があればご覧ください。
年収が上がる転職と年収が下がる転職は何が違うのか
他の記事でも年収が上がる理由を解説しましたが、簡単にポイントをまとめてみます。
① あなたのスキルや経験を求める企業が多い
② あなたのスキルや経験を持つ人があまり転職しない
③ あなたが希望する業界や会社があなたの希望年収を出せる予算がある
この3つの条件を満たす場合、転職であなたの年収は上がる可能性が高くなります。
例えば、①と②は合っているけど③が合わない場合は転職しても希望の年収アップは難しいでしょう。
これが転職者の半数以上が年収が上がらない理由の一つです。
「いま転職した時の自分の年収を知りたい」なら、転職エージェントがあなたの適性年収・市場価値(自分の相場)を査定してくれます。
星の数ほどある転職エージェントですが、最初は情報量の多い大手やメジャーな転職エージェントでチェックすることがお勧め。
市場価値を積み上げないただの「ジョブホッパー」になってはいけない
ここでいう「ジョブホッパー」とは、短期間で安易な転職を繰り返し、市場価値の上がる経験もスキルも積み上げずに転職してしまうことと定義します。
ジョブホッパーはさきほど説明した給与が上がる3つの条件を全く満たさずに転職します。
結果として職務経歴書が「汚れて」しまうことも。
こうなると常に条件で妥協しなくてはいけなくなりますから、年収の下がる転職を続ける可能性が高くなってしまいます。
人それぞれいろいろな転職理由はあると思いますが、解決できる問題も多いはずです。
転職を楽な解決方法にしてしまうと先細りのキャリアになって、年収も実績も作ることができなくなります。
あなたなりのスキルアップの方法や仕事の悩みの解決方法についてもスキルアップしておくことが大切ですね。
仕事の悩みの解決方法について興味があれば次の記事も参考にしてください。
転職は価値あるキャリアを積み重ねるための「キャリアビルディング」
では、ジョブホッパーにならないためにどうすればいいでしょうか?
新しくスキルを身につけるための転職は身につけたスキルで実績を積むための転職が理想ですね。
例えばITエンジニアであれば、英語力を身につけて英語をガンガン使う仕事や職場へと環境を変えるようなパターンです。
理由は次の3つです。
① IT業界の平均給与が高く、人材が常に不足している
② 英語力もったエンジニアが非常に少なく、常に不足している
③ 外資系IT企業はさらに高い給与が期待できる
もうお分かりかと思いますが、これは最初にあげた「年収の上がる転職の3つの条件」を全て満たしています。
さらに、英語力を身につけることで海外の人脈を作ることができますし、最新のIT技術を身につけることも楽になります。
結果として最新技術と経験身につけることができるので、次の転職までにさらに市場価値とスキルセットの希少性が上がっているというキャリアアップの波に乗ることができます。
別のパターンで言えば、シニアレベルの管理職の方が「再生屋」として、短期間で経営難の企業を立て直すようなパターンです。
これはスペシャリストと言っても良いですね。
最近は「プロフェッショナル経営者」なんて呼ばれたりしています。
経験やスキルのかけ算で市場価値を上げていく方法
ITスキルと英語力が市場価値を上げるという事実からお分かりになるとおり、市場価値を上げる唯一の正解は「市場価値のあるスキルや経験をかけ算していくこと」です。
この点でITスキルと英語力は絶妙の組み合わせですが、他にも市場価値を上げるスキルのかけ合わせはたくさんあります。
あなたにとっての「勝ちパターン」をどうやって作るか、作った勝ちパターンをさらに価値あるものにするには何を組み合わせればいいのかを考えることが「キャリアビルディンング」です。
では、市場価値を上げるスキルのかけ合わせに必要な条件は何でしょうか?
① 市場価値のあるもの同士を掛け合わせる
誰もが持っているスキルであっても、2つ3つとかけ合わせることであなたのスキルセットや経験の市場価値は上がります。
ただし、組み合わせによっては期待ほど価値が上がらないこともあるので年収査定などで自分の現在価値を知っておく必要があるんです。
例えば、国内顧客しかいない会社で英語をはじめとする外国語を身につけてもあまり評価はされません。
この場合は、「これから」海外市場を開拓しようとしている会社を選ぶことで英語力があなたの持つ業界経験の価値をグッと高くしてくれます。
② 価値を最大化する業界、会社、職種を選ぶ
また、働く業界や職種によってもあなたのスキルセットが価値を持たない場合があります。
例えば、製造業の顧客をたくさん持つIT企業に転職しようとするとき、あなたのITスキルが十分でも業務経験が小売業界だけであれば、書類選考も通らない可能性が高くなってしまいます。
この場合、あなたのITスキルと業界経験の価値が最大になるのは製造業界もしくは製造業界の顧客を持つIT企業です。
特に新型コロナ禍の影響で、企業は即戦力志向を強めていますから、ちょっとした経験の差が転職成功率に影響するようになってきています。
③ 希少価値のあるスキルセットや経験を作る
サラリーマンにとって弁護士資格や医師資格のように単体で希少価値・市場価値のあるスキルや経験は稀です。
業界や職種の特徴として希少価値の高いものが自然と身につくのであれば幸せですが、通常はある程度の時間をかけて身につけることができるスキルや経験同士をかけ合わせて複数の「スキルセット」で価値を上げていくことが現実的です。
繰り返しになりますが、英語力をはじめとする語学力は多くのスキルとの相性も良く、業界・会社・職種を選ぶことで、その価値を高めることができるので僕はおすすめしています。
④ すぐにコモディティ化するスキルは選ばない、低いレベルで満足しない
スキルを選ぶときに気をつけて欲しいことが「すぐにもしくはすでにコモディティ化しているスキルを選ばない」ことと、「コモディティ化しているならレベルを少しでも上げる」ことです。
例えば、簿記などがいい例です。
簿記3・4級を持っている人はたくさんいますが、2級・1級と進むにつれて資格取得者は格段に減りますよね。
数が少ないということはその分価値が出る可能性が高いということです。
英語力もこの点では一緒です。
転職で価値を持つレベルはTOIECスコアで言うと800点以上+英語での業務経験があることですので、スコアが500点、業務で使ったことがなければ市場価値はほぼ変わらないと思っていいでしょう。
転職力(市場価値)を上げるには?
市場価値の仕組みや具体的な内容については次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
>>35歳東京勤務のITエンジニアの市場価値とは?年収が変わるポイントは?
ここからはこの記事で解説した市場価値を決める7つの要素をもとに、社内評価と市場価値のギャップ分析を実際にやってみたいと思います。
社内評価の内容を分析する
まずは次の7つのポイントを自分に当てはめてみます。
自分で確認できるもの、第三者の評価が必要なものを分けておきますので、まずはあなたが確認できるものを埋めてみてください。
市場価値を決める項目 | 内容 |
---|---|
①スキルの種類と レベル | エンジニアが持つべきスキル・技術力、 業界や職種が求める他にない能力 |
②業務で積み上げた実績 | スキルを使って達成した業務、成果、年齢とのバランス、業界の特徴 |
③スキルの将来的なニーズ | ビジネス成果を達成するために必要なスキルや知識、経験 |
④年齢とのバランス | スキルや経験・実績が年齢とバランスが取れているか |
⑤人事制度 | ジョブ型の人事制度と年功序列・終身雇用型の違い |
⑥性別 | 男性か女性かが市場価値に影響するか |
⑦勤務地 | 生活コストの違いはある程度年収に反映される |
①スキルの種類とレベル、②の業務で積み上げた実績については、それがあなたの会社の中だけで評価されるものなのか、他の会社に行っても価値を認められるものなのかを確認しておいてください。
次に市場価値を確認してみる
自己評価が終わったら、それをもとに第三者、通常は転職エージェントのキャリアカウンセリングなどで市場価値の評価をしてもらうことになります。
最近はネットでも適職診断、年収診断、キャリア診断などがありますから、最初はそちらを利用してもいいと思います。
ただし、サービスによって結果にすごく幅がありますから参考程度にしておきましょう。
僕が実際にネットで年収査定した記事がありますので、興味があれば参考にしてください。
>>ネットで年収査定を試してみたら驚愕の結果!転職で給料は上がるのか?
次のおすすめリストから最大3社程度に登録してあなたの市場価値=転職できるかどうかと年収はいくらになるのかを確認してください。
もし3社の間で大きくぶれるようなら、あなた自身が気がついていない価値があるかもしれませんね。
あなたに足りないものは何か?
転職エージェントのキャリアカウンセリングや転職相談を活用するときのポイントは、次の通りです。
これを知ることで、現時点でのキャリアのリスク、可能性がはっきりしますからあとはどうやって希望するキャリアを作っていくのかを計画すればいいだけですね。
具体的な方法については「市場価値の上げ方は転職勝ち組に学べ!目標設定だけで年収もキャリアもアップ?」で解説していますので、興味があれば参考にしてください。
まとめ
ここまでの内容をかんたんにまとめます。
・社内の評価と市場価値は異なる
・人事制度によって市場価値とのギャップは大きくなる可能性が高い
・社内評価の内容と市場価値を決める要素を比べて、現時点でのあなたの価値を客観的に評価することが大切
・結果をもとに目標を立てて、足りないものがあれば身につけるためのキャリアプランを作り、実行する
ここ数年で財務的に余裕のある大手企業は人事制度をどんどん変えていっています。
これから中小企業もそれを追いかけていくでしょう。
このトレンドを強力に支えるのが人口減少やデジタル化であり、このトレンドは決して戻りません。
あと数年で定年を迎えるという方以外は、この影響をモロに受けますから、あなた自身の夢や家族の生活を守り、夢・希望・願望を叶えてあげるためにはいますぐ行動しないと間に合わないと思います。
恐怖は未知から生まれます。
余裕のあるうちに、ぜひ市場でのあなたの評価を調べてみてください。
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