苦労して内定をもらったのに「さあ、あとは退職手続きだけ!」と意気込んで上司に告げたら、ものすごい引き止めやオドシにあったという話はよく聞きます。
引き止めに対して結論を出せずにずるずる引き伸ばして入社時期がズレると、せっかくの内定が取り消されてしまうことだってあります。

僕は転職活動を始めるときに引き継ぎの段取りや上司に告げるタイミングをある程度決めておいて、内定取り消しリスクをできるだけ避ける準備をしていました。
事前に対策を考えて退職準備を進め、引き止められたときの対策についても考えておけば、せっかくもらった内定をムダにすることなく新しいキャリアにチャレンジすることができますよ!
この記事では、スムースに退職するためのポイントをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。
※ただし、「セクハラ・パワハラに耐えられないから、いますぐに会社を辞めたい。でも退職したいと伝えられない」ような状況であれば、退職代行サービスの利用をおすすめします。
最近は退職代行を使った退職を規則で禁止する会社が増えていますが、法的にもあなたの代理として交渉できる「弁護士法人みやび」や労働組合法人の「退職代行ガーディアン」であれば安心して依頼できると思います。
転職時の引き止めは全て振り切る覚悟を持つ

まず最初に転職時の引止めは全て振り切る覚悟が必要です。
何があっても転職するんだ!という強い決意がなければ、情に引きずられて退職できなくなる場合もあります。
会社が引き止める理由
例外もありますが、大抵の引き止めはあなたのためを思ってのものではない場合がほとんどです。
特に年功序列、終身雇用が制度として残っている会社では、採用コストの高さ、育成期間の長さ、中途採用経験の少なさなどが壁になって、社員の退職を極端に嫌い、「裏切り者」として扱おうとする風潮さえあります。

当然退職の意思表示をした途端に強烈な引き止め、脅し、泣き落としとバラエティに富む妨害工作をかけてきますから、ここで弱腰の態度を見せようものなら、相手の思うツボ。
波状攻撃を受け他あげくに時間がどんどん過ぎて、転職先に約束していた入社日が守れなくなって内定取り消しなんていうリスクまで出てきます。
そうなるとあなたの信用の問題に発展しかねません。
しっかりと予防策を打ち、引き止めに会った時の対策を練ってから退職を申し出ましょう。
あなたがいなくても、仕事も社会も世界も何事もなかったかのように回っていきますので、ご心配なく?!

別記事でも解説していますが、外資系企業では文化的にも人が辞めることを前提としたJob Description(業務内容定義)という仕組みや組織文化になっているので、会社を辞めるからといって極端な引き止めにあうことはありません。(例外はありますが)
引き止め予防対策のポイント

退職することは「絶対に」誰にも相談しない
転職活動を通じて一番大切なことは、絶対に同僚、上司、部下には転職の相談をしないということです(奥様は例外ですが、同僚と家族ぐるみの付き合いをしているときは、うっかり奥様の発言から情報が漏れないように十分に注意が必要です)。

別記事でも解説している「リファラル」を頼む相手にも決して口外しないように念を押しておくことも大切です。
漏れた情報は瀬鰭尾鰭をつけてあらぬ噂となって社内を駆け巡ります。
あっという間に回り中的だらけなんて状況になったら転職どころではありません。
まずは情報コントロールを徹底してください。
転職・退職による関係悪化は可能な限り避ける
転職で一番避けたいことは、会社や同僚との関係悪化です。
サラリーマンを続ける以上、どこでどうつながっているかを全て調べることはできません。

「もめないこと」が転職後のキャリアを守って育てるための最高の予防策なんですよ。
もちろん後で解説する通り、揉めた時の対策はありますし、その準備も大事ですし、時間とお金を無駄にしないためにも大前提は「もめないこと」です。
以下で特に注意する予防策を解説します。
転職で引き止めされたときのための3つの対策と最後の手段

優柔不断な態度や退職理由が一番危険
これもよく聞くパターンですが、はっきりと退職理由を伝えられない人は要注意です。

相手も経験豊かな会社員ですから、あれやこれやとからめ手で攻めてきます。準備も大切ですが、はっきりとした態度を常に取ることも大切です。
繰り返しになりますが、「かならず退職する」「気持ちは変わらない」という強い意思を持ってください。
転職のタイミングは慎重に決める
退職を伝えたときの引き止めで多いのが「「今」は忙しいからやめられたら困る」という退職のタイミングについてです。
会社にとってあるいは部門やチームにとって避けたほうがいいタイミングは十分把握できると思うので、可能な限り影響が少ないタイミングや時期を選ぶべきです。

常識の範囲内(1〜2ヶ月)であれば、よほどの事情がなければ入社時期の調整には応じてくれますから、まずは相談してみましょう。
ギリギリになって「実は退職手続きに時間がかかっていまして・・・」なんて話になると、会社も困りますし、内定取り消しのリスクも高くなりますから十分に注意してくださいね。
後任育成と引き継ぎ準備を進める
引き止め理由で次に多いのが「君」にやめられたら困るという属人的な説得です。

確かに従業員が100人以下の企業でダントツトップの営業成績を出しているような人であればその引き止めも説得力がありますが、誰がやめても会社は次の日から普通に回ります。
そもそも、誰がやめても業績が極端に悪化しないように経営するのが管理職以上の責任です。
とは言え、恩もあれば情もある日本人。
最善の予防策としては後進の育成です。
ただ、これは時間がかかりますし、適任がいなければどうしようもありません。
それでも日々の業務で自分がいなくなった時のリスクを洗い出して、
という視点を持ちながら仕事をすれば、退職が引き金となって会社や部門、チーム、同僚が困ることは防げるでしょう。
自分の担当範囲、関係者、顧客、問題点などはきちんと整理して情報として渡せるように準備するのは社会人としての最低限の礼儀です。

余裕を持って準備しておくことで、退職妨害も少なくできますし、突発的なトラブルにも対応しやすくなるのではないでしょうか。
引き止めにくい・引き止められない退職理由を用意する
退職をスムースに進めるには伝え方やタイミングが大切だといことはお分かりいただけたと思いますが、なんといっても一番は「退職理由」です。
給与やポジションを退職理由に使ってはいけないワケ
これも引き止めにありがちですが、給与の低さや昇進の遅さを理由とすると、昇給や希望していた部門への異動などを提案してくることも多いはずです。
十分に予想できる内容ですので、
など、相手の主張に十分な根拠や証拠がないことを伝えるといいと思います。

相手の反応を想像しながら「どんな会話になるか」をストーリーで書き出してみると、相手を納得させられるポイントや諦めてもらえる理由が思い浮かびやすくなりますから試してみてください。
※「転職を決めたけど、自分では切り出せないから退職代行を使おうと思うけど、それも非難されそうで憂鬱」と感じているなら次の記事もぜひ読んでみてください。

やりたいことが今の職場・ポジションでは実現できないことを証明する
おそらく客観的にみて一番納得行きやすく、周囲の反対も押さえやすいのが自分のやりたいことを実現するために退職するという理由です。
例えば、国内のプロジェクトをずっと担当していたのでれば、より大きな舞台=海外含めたグローバルプロジェクトを担当してみたいなどです。
「当社も国内市場の縮小に備えて、今経営陣が海外進出を検討している」など説得が来るかもしれませんが、その時は
などを具体的に確認します。

提案された内容が自分のやりたいことにぴったりであれば、そのとき考え直せばいいと思いますが、まあ、あまりこれはありませんね。。。大抵は付け焼き刃の言い訳みたいな架空のプロジェクトの話である場合がほとんどでしょう。上司の発言は鵜呑みにせず、絶対に事実確認をしてウラを取りましょう。
引き止め対策用の問答集を作っておく
ここではよくある引き止め台詞や攻撃を集めてみました。
こんな非難されるような言葉や引き止めにあったらこうしようという作戦立案に役立ててください。
よくある責めたり非難する言葉
「今のままでは他社行っても通用しないよ?」
内定が出ている時点でこれは的外れな指摘になりますから、何も気にすることはありません。
「損害賠償を請求するぞ!」
ブラック企業に関する記事でも解説していますが、労働基準法でこれは禁止されています。処罰されます。もし特定個人の退職で会社や顧客に損害が発生するのであれば、それは経営陣の問題です。
「この業界では仕事はできなくなるよ・・・?」
パワハラですし、そんな力のある人は滅多にいません。
そもそも企業間で特定個人の転職を邪魔するような行為をすれば、それこそ問題です。
最悪の場合、ブラック企業への対応同様、弁護士や労働基準監督署への相談も必要ですが、証拠があるとないとではその後の展開が全く異なります。
上司がもともとパワハラタイプであれば、退職の話をする時にメモを取るなり会話を録音するなどの自己防衛対策を取ってください。
引き止めの台詞
「給料を上げるから残って欲しい」
一番多い引き止めの台詞で、一番実現性の低いものです。
もし給与が上がったとしても、責任や仕事範囲がどうなるかも分からないですら、仕事環境が悪化する危険すらあります。
ただ給与だけが転職の理由で、仕事にも人間関係にも不満がないのであれば希望給与を伝え、会社側が新しい雇用契約書を希望期限までに準備できるなら検討してもいいと思います。
ただし、その場合も仕事の範囲・責任・評価基準などがどう変わるのかを文書で確認した上で納得が行けばという条件は絶対に外したらだめです。
「昇進直前だよ?」「今後あなたに重要な役割を任せようと思っていた」
昇進が確定している内示書や辞令をもらいましょう。どう重要なのか、どんなポジションを用意してくれているのか、いつからなのかなど詳細を聞けば上っ面のセリフかどうかが分かります。
「後任が見つかるまで待ってほしい」
この質問には「No」以外は危険です。
毅然とそしてはっきりと待てないことを伝えましょう。

「いつですか?」や「どうやって探すのですか?」など質問すると相手の思うツボです。
人手不足で人材の確保が難しいのはどの企業でも一緒ですから、これも経営課題でありあなたが責任を取るべき問題ではありません。
日常的に問題点は上申しておいて、こうした引き止めに対しては「以前から申し上げている通り」と切り返せばいいと思います。
「バランスの取れた働き方を考えよう」「異動など環境を変えてみよう」
できるのであれば、とっくにやっていますよね。。。
万が一希望部署への異動が現実になれば、最悪入れ替わりに移動させられた人からの恨みを買いかねません。
それに、他の退職希望者が出た時に今度はあなたが望まない異動をさせられる可能性もあります。
退職がうまくいかないときの内定取り消しリスクを考えておく
内定をもらった際には入社予定日の希望を伝えるのが通常ですが、相手の期待に答えようとして極端に短い期間を提案するのは絶対に避けましょう。
すでに解説した通り、退職は何らかの引き止めがありますが、想像以上に体力、精神力、そして時間がかかります。
万が一伝えてあった入社予定日に間に合わないということになると、転職先の準備も無駄になりかねないばかりか、信頼も失います。
退職手続きが思うように進まない場合も想定して、余裕のある入社日希望を伝え、もし強烈な引き止め工作にあって入社がずれ込むリスクが出てきたらすぐに状況と対策、新たな予定日を共有することが大切です。

中途採用は即戦力としての期待が大きいですから、あなたの入社の遅れがビジネスリスクになることもあります。
そうなったら入社前から評価が下がってしまい、マイナススタートに。。。
内定をもらったら、必ず入社予定がずれた場合にどうなるのか、どうすればいいのかを採用担当に確認するようにしてください。
転職・退職するための最終手段の準備
どうしても相手が納得しない、繰り返ししつこく説得しようとしてくる、挙げ句の果てには脅し文句までとなった場合は法的な対応を取る必要が出てきますから、すぐ対応できるように準備しておくと安心です。

自分から退職の意思表示ができない場合は、内容証明付きで郵送するなど方法はありますが、それも難しい時は退職代行や弁護士への相談を検討してください。
退職について会社の人と話したくない、伝えるのが怖いという方は退職代行サービスを利用しましょう。
退職金や残業代などの請求は法律で弁護士や合同労働組合しかできないことになっていますので、退職代行を選ぶときには注意してください。
冒頭にもおすすめしましたが、法的にもあなたの代理として交渉できる「弁護士法人みやび」や労働組合法人の「退職代行ガーディアン」なら安心して依頼できると思います。
退職の順の進め方やトラブルになりやすいポイントなどをまとめた記事もありますので、こちらも参考にしていただけたら幸いです。
まとめ

業界は狭く、知り合いはどこで繋がっているかわかりません。
何年も務めてきた会社であれば社歴そのものが資産でもありますから、なるべく穏便な形で退職できるように準備を進めてください。
要点は以下の4つです。
・基本的に引き止めは全て振り切る
・引継ぎ準備、後任育成など早めの引き止め予防策の手を打つ
・引き止めにあった場合の対策を準備し、入社予定がずれないように手を打つ
・強硬な引き止めには退職サービスや弁護士への相談も検討する
最後は揺るがない決意が必要ですし、そのためにも目的を持って、見失わないようにしっかりと準備をしてください。
転職の成功をお祈りしています!