
・未経験でIT業界にチャレンジしたいけど、アピールできるものがない。。。
・面倒見がいいって言われるんだけど、管理職経験はゼロ。。。
・働きたい異業界があるけど、今までの経験が全く意味なくなると思うと不安。。。
未経験で異業界や異業種へ転職するとき成功率を上げるには「ポータブルスキル」のアピールが欠かせません。
希望する業界・職種に必要なスキルも経験がないとアピールできるものがないから不安ですよね。
求人情報を読んでも自分ができることなんて何も書いてなくて、どうしたらいいか、何をすればいいのかわからなくなります。

僕自身未経験でIT業界にチャレンジしたときも同じ気持ちでしたが、その後も転職を繰り返すうちに「このスキル・経験はアピールする価値があるんだ」ということに気が付きました。
それが「ポータブルスキル」です。
ネーミングは厚生労働省がつけたものですね。
この記事では以下を解説しています。
未経験業界・職種へのチャレンジはしたいけどアピール方法がわからないという方はぜひ参考にしてください。
繰り返しますが、未経験で異業界や異業種へ転職するとき、成功率を上げるには「ポータブルスキル」のアピールが絶対必要になりますので、履歴書・職務経歴書の作成や面接対策に是非盛り込んでくださいね。
ポータブルスキルは「ビジネスに必須のスキル」

結論から言えば、ポータブルスキルは「どんな職種・業界・ポジションで働いても活躍するために必要なスキル」です。
未経験の業界にチャレンジする人にとってだけではなく、働く人全てが身につけて磨いていくべきスキルとも言えます。
それだけに、個人差が出やすく、達成しているレベル、習熟しているレベルが異なります。
そこを自分の強みとしてアピールするためにどう「見える化」するかが転職活動で大切になってくるのです。
実は、転職サイトdodaのアンケート調査によると、転職者の6割以上が異業種へ、 3割が異職種へ転職しています。
未経験だからといって、アピールできるものがないわけではありません。
あなたが気がついていない自分自身の市場価値を「見える化」することで、キャリアチェンジのチャンスは広がります。
転職を考えている業界・職種・会社でどんなスキルが求められているのか、求人情報から読み取れない企業内の期待値などを知りたければ転職エージェントを活用しましょう。
特に業界特化型やハイクラスの転職サイト・エージェントは、業界知識も豊富で企業側人事とのパイプも持っていますから会社内部の情報もある程度知っていますから、キャリアプランの相談相手としては理想的です。
成功率を上げて効率的に転職活動を進めるための転職エージェントの組み合わせ方については「目的別おすすめ転職エージェントランキング【転職成功率を上げる組合せ方】」も参考にしてください。

評価の軸が変わってきている

年功序列で人事評価している会社だからといって、能力が求められないわけではもちろんありません。
年功序列の問題は、突出した能力があっても能力の差ほどに給与に差が出ない点です。
例えばある仕事に3日かかる人と1日で終えてしまう人がいたとしても、給与は3倍にはなりませんよね?
仕事ができて上司の評価も高ければ昇進のスピードは上がると思いますが、一般社員と部長職で年収が3倍にはならないでしょう。
しかし、年功序列・終身雇用で優秀な人を雇うことはとても難しい時代になってきています。

世界的に見ても人材は奪い合いであり、高い年収とどれだけ働きやすい環境を提供できるかなどが優秀な人材の会社選びの基準になっています。
成果主義になって評価軸が変わってきた
では、成果主義が評価の基準になったとして、採用の時に評価する基準はなんでしょうか。
当然ですが、成果を出すためにはスキルだけではなくチームワークで働く必要がありますので、業界や業種に特化したスキル以外にも様々な能力を求めることになります。
外資系が年齢、性別、国籍にこだわらないのは、成果を出すための課題解決力を重視していることもありますが、グローバル化した経済環境では1人で高い成果を出すことが難しいことをよく理解しているからです。
ポテンシャルとポータブルスキルは異なる
未経験者を採用するときによく使われる言葉に「ポテンシャル採用」がありますが、これはポータブルスキルとは別の内容になります。
ポテンシャルには、その人が入社した後にスキルを身につけ業務経験を積んだ後に会社の業績に貢献するだけの能力があり、それまでに会社がかけた投資に見合うリターンをもたらすだろうという見込みがあることを意味します。
一方、ポータブルスキルはすでにその人が持っている能力で、業界や職種が変わっても失われな汎用的なスキルです。
つまり、ポテンシャルの中にはポータブルスキルが含まれる場合があります。
採用基準はどう変わったか

誤解のないように最初にお伝えしますが、今でも学歴や職歴・スキルが評価されなくなったわけではありません。
そうした客観的に証明できる能力の他にも高く評価されるスキルとしてポータブルスキルが出てきたと考えてください。
ヒト軸からコト軸へ
採用側にとっても転職者にとっても一番避けたいことは入社後のミスマッチです。
ミスマッチが発生する理由別記事で詳しく解説しているのでそちらも参考にしていただきたいのですが、採用時の人事評価という切り口から説明すると「その人何者なのか」という俗人的な観点(ヒト軸)からだけの評価に偏っていたからということができます。
それを補う形で「その人がどんな課題を解決してきたのか」を評価の軸(コト軸)に加えるようになりました。
① ヒト軸→人の属性しか見ないので、本質的な能力を見落としてしまう
・どんな人を採用したいのか
・どんな仕事をしてきた人なのか
・どんな経験を積んできた人なのか
②コト軸→業種・職種を超えた共通の課題解決
・どんな課題を解決したいのか
・どんな課題を解決してきたのか
この「課題解決力」を支えるのが「ポータブルスキル」です。
ポータブルスキルとは何か

厚労省の「ポータブルスキル」定義
「ポータブルスキル」の厚生労働省の定義を引用します。
※ポータブルスキル・・・業種や職種が変わっても通用する、持ち出し可能な能力のこと。「専門知識・専門技術」の他、「仕事のし方」(課題を明らかにする・計画を立てる・実行する)、「人との関わり方」(社内対応(上司・経営層)、社外対応(顧客、パートナー)、部下マネジメント(評価や指導))で構成。
出典:厚生労働省「ミドル層のキャリアチェンジにおける支援技法」より
この定義からも分かるとおり、ポータブルスキルはTOIECスコアのように点数にすることはできませんし、「どれくらいやったら身につくのか」という量で測ることもできません。
とても主観的で評価者によって基準も評価の結果もブレが出やすいあやふやな基準とも言えます。
にもかかわらず多くの企業や政府機関が重要視する理由は、ポータブルスキルが業績貢献に欠かせない重要なものと考えるようになったからです。

これも年功序列・終身雇用を維持できなくなったことや「平等」な人事制度では優秀な人材が集まらないことも背景にあるはずです。
僕にとって「ポータブルスキル」とは、「過去の実績や貢献を再現する力」であり、業界や業種を選ばない汎用的なスキルと理解しています。
これが企業に伝われば、必ず「会いたい」と思われるので、履歴書や職務経歴書でどう伝えるか、面接で説得力をもって説明できるがが今の転職活動の重要なポイントになっていると思います。
課題発見力、課題設定力、課題解決力
ポータブルスキルの中心は次の3つの力です。
②と③はある程度経験を積めば身につけることができますが、①については意識して訓練することなしには身につきませんし、チームワークが必要な場合もあります。

様々な要素が複雑に絡み合うために変化の幅も大きくスピードも速いグローバル経済の中では、潜在的な課題を見つける力が会社の業績や将来にものすごく影響することはわかっていただけると思います。
対人マネジメント力
人間関係を管理するスキルも重要なポータブルスキルの一つで、コミュニケーション力を含みます。
大きく次の3つに別れます。
僕は「巻き込み力」ということが多いのですが、関係者との信頼関係を作り、維持し、協力をえて設定した目標(業績)を達成する力と理解しています。
この対人マネジメント能力はどのポジションにいても必ず必要であり、日常業務の中で意識して磨いていくことができるスキルです。
この力が弱いと、仕事を1人で抱え込んでしまって失敗を繰り返したり、顧客に迷惑をかけた結果社内で孤立し退職、という負のスパイラルに巻き込まれていく話もよく聞きます。
コミュニケーションスキル=巻き込み力を伸ばす秘訣は、まず自分が巻き込まれることです。

例えば、部門横断的な仕事やイベントなどの業務とは関係のない仕事に率先して参加して社内人脈を広げるなどはとても効果のある方法だと思います。
また、プライベートの趣味を広げてたり、英会話や社会人大学で学び直すこともいいと思います
力が欲しいなら、まず自分から飛び込んでみてください。
計数力
見落としがちなスキルが「計数力」です。
これはプロジェクトのコスト管理や時間管理もそうですが、業績指標を理解できるくらいの管理会計・財務会計知識は持っておきたいところです。
最近は会社の数字をわかりやすく解説したビジネス本も多いので、手に取って自社・顧客の決算書を分析することから始めてください。
特に自社の決算書は会社の将来性や現在のリスクなどを理解することにも役立ち、あなたのキャリアプランを支える力となりますからぜひチャレンジしてください。
論理的思考力・プレゼンテーション力
論理的思考力は業務の全てにおいて求められますので、普通に仕事をしていればある程度は鍛えられると思います。
しかし、プレゼンテーション力は全く別です。
ランダムに与えら得たテーマについて自分の意見をまとめて10分間きっちり発表してください、と言われてパッとできる人は相当プレゼンに慣れている人です。
プレゼンは論理的思考力、情報収集力、論理的構成力、課題発見・設定・解決力、そして表現力=伝える力が総合的に求められます。
プレゼンテーション力の優れた人の履歴書や職務経歴書は説得力にあふれ、「この人に会いたい」と思わせることがとても上手です。
短期間で身につけることができないものですが、上記のようにその内容を分解して理解することで、少しづつでも身につけ磨いていくことはできます。

実務経験や業界知識に掛け合わせることであなたの市場価値を上げてくれるスキルでもありますから、キャリアプランに加えて自分から取り組んでみませんか?
英語力
大切なことなので何度でも書きますが、英語はグローバルプラットフォームです。
グローバルな仕事は英語という土台の上に成り立っています。
もちろん通訳やGoogle翻訳でできることもありますし、それで十分という人が大半でしょう。
しかし「大半」=希少価値を持っていないということでもあります。
人材市場であなたの市場価値を上げる手段としてぜひ英語力アップにも取り組んでください。
何故ポータブルスキルは大切なのか

一般的に社会人経験で得られるものは、ビジネスパーソンとしての基礎知識と勤める会社で身につく専門知識や業界知識です。
ポータブルスキルが定義している能力は「仕事のし方」と「人との関わり方」の2つに分かれます。
いずれも仕事をする上で欠かせない能力ですよね。
この能力が欠けている、足りないと面接で思われたら内定は出ないでしょう。
一方、未経験でも実績や情熱を買わて転職のチャンスを手に入れる場合でも、例外なくこのポータブルスキルが十分にあることを評価しているはずです。

転職者が中途採用である以上、新人の様に基本的な仕事のし方やコミュニケーションを手取り足取り教える余裕はありません。
社会人として身につけておくべき基礎がなければ、他業界での実績も情熱も意味がないからです。
ポータブルスキルはどうやって身につけ、磨いていけばいいか
ポータブルスキルを大きく 3つに分けるとしたら、行動力、思考力、チームワークです。
いずれもあなたが今の仕事で毎日磨くことのスキルばかりです。
例えば、自分の仕事外の作業でも気軽に受けてみること他の人の仕事の内容を知ることもできます。
そうすると、業務の流れがスムースになったり、あなたが困ったときに助けてくれる人が増えます。
また、スポーツ部や文化部などの社外活動、ボランティアなどの社会参加、社内イベントのサポートなど行動力を示し、いつもは使わない思考を求められ、チームとして動くことが求められる作業など探せばいくらでもあるものです。

仕事がもらうものではなく、自分で探し創るものである様に、ポータブルスキルもあなた次第で他の人の何倍も速いスピードで身につけ、磨くことができるものです。
ぜひ積極的にチャレンジしてください!
未経験転職は三段階でキャリアを考えてみる
未経験やキャリアチェンジ、キャリアアップを目的とした転職の場合は、いきなり希望のポジション、職種、業界につけるとは限りません。
いくらポータブルスキルがあってもハードルが高い場合はあるでしょう。
特に未経験の場合は、まず求めら得れることはその業界・職種で仕事ができるだけの専門スキル、そして実務経験です。
転職後のキャリアを考えるときには、
という様な 3ステップくらいの長期的なキャリアプランを考えておくと目的意識がはっきりしてキャリアの選び方にもブレがなくなりますし、ポータブルスキルも磨かれていくのではないでしょうか。

未経験で転職したい時のポータブルスキルのアピール法

自分のポータブルスキルがわかったら、次はアピールをどうするかの準備です。
個別のパターンを全て紹介することはできないので、未経験の職種へ転職したい時の代表的な例を紹介させていただきます。
営業職の方が業務コンサルタントや経営企画系にキャリアチェンジキャリアチェンジ
営業職の方が業務コンサルタントや経営企画系にキャリアチェンジしたいときには、コミュニケーション、巻き込み力、課題抽出、提案力がアピールしやすいポータブルスキルです。
具体的に当てはめてると、
などは他社にとっても魅力的に映るポータブルスキルと言えるでしょう。
部下なしマネージャーから部門管理職へキャリアアップ
部下のいないマネージャーから課や部を率いるマネージャーとしてキャリアアップしたい時は、コミュニケーション力、マネジメント力、社内調整力、係数力などがアピールしやすいポータブルスキルになります。
例えば、自分の管理・コスト管理目標を持ち、顧客管理や他部門・他チームとの協働し、プロジェクトを完遂させて経験などは、自分の部下でなくともバーチャルチームをマネジメントする力がありますし、営業職でなくとも顧客対応をするポジションであれば、対人対応力・コミュニケーション力をアピールできます。
評価のポイントは、マネジメントをしながらも自身で営業をしてきた経験です。
例えば、
などは、例え管理職としての行動でなくても高いリーダーシップを評価されて、管理職として歓迎されるはずです。
営業職からグローバルプロジェクトのプロジェクトマネージャーへ
営業系の職種は、自分の営業プロセスや数字をいろいろなシステムや自作のExcelなどで管理見込み客へのアプローチ数、アポイント率、成約率など営業活動全てを数値化し管理しています。
当然、それは営業活動のプロセス管理もやることになりますから、大規模プロジェクトに求められる各種の管理スキルにマッチします。
関係者が多岐、多様なグローバルプロジェクトでは、属人的・ひとりよがりの管理は致命的なリスクになります。

プロセスを可視化して関係者と共有し、ゴール設定をして周囲を巻き込みながら、納期に向かってプロジェクトをドライブしていく力は異業種・異業界でも必ず魅力的に映るはずです。
ポータブルスキルは万能ではない
ポータブルスキルはアピールしやすいスキルではありますが、万能ではありません。
あなたが持っている様に他の人も持っていますので、当然採用側からすれば最初に比較するポイントでもあるからです。
勝率を高めるためには次の様な業界、会社、求人を探すことも選択肢として持っていいると転職の幅が広がると思います。
まとめ

ここまでの内容をまとめます。
・年功序列・終身雇用の崩壊、人口減、経済のグローバル化で採用基準が変化している
・評価の軸は「ヒト軸」と「コト軸」の2軸評価へ変化
・ポータブルスキルは課題を解決する力であり、業界・職種を選ばない
・ポータブルスキルは日常的身につけられるものが多い
・ポータブルスキルは市場価値を上げる重要なスキル
相次ぐ災害や新型コロナ禍によって多くの「想定外」が起こり、変化を強制されました。
これからもこうした予期していなかったことが起こり続けるでしょう。
そして、変化した環境には僕たちが気が付かないリスクとチャンスが潜んでいます。
ポータブルスキルを身につけて仮説をたて、仲間を巻き込み、課題や問題を掘り起こして先手を打って成果を届ける力を育てませんか?
その力は必ずあなたの市場価値を上げてくれるはずです。
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