・外資系に転職したいけど英語力ってどれくらい必要なんだろう?
・そもそも英語ができないと外資系には転職できないの?
外資系企業は日本にある全ての会社の1%未満です。
なので、都市伝説もとても多くて外資系企業での働き方を誤解されている方も多いと思います。
英語力はその最たるものだと思いますので、外資系で必要な英語力の実際について解説します。
「外資系だから英語が必要」なわけではない時代
経済のグローバル化で、日系企業も多くが海外に新しい市場・顧客を求めて進出していますね。
進出先が英語圏以外だったとしてもコミュニケーションは英語で行われるケースは多いです。
例えば、僕が担当した日系企業のグローバルプロジェクトでは、アジア地域の合同ミーティングは日本語ではなく英語でした。
中途採用社員に期待するTOIECスコアは600〜700点
この10年ほどで多くの日本企業が英語を「社内公用語」としています。
例えば、日産、楽天、ファーストリテーリング、シャープ、日本板硝子、アサヒビール、資生堂などのそうそうたる企業ですね。海外との取引が多い商社も英語力は重要視されていると思って間違いありません。
また、「公用語」まで行かなくてもTOIEC受験を必須としていたり英語力強化を進めている企業も多いです。有名どころでは、三井住友銀行、日立製作所、三井不動産、三菱地所、日本電産などですね。
英語力を必要とするのは外資系や大企業だけか?
全ての企業で英語が必須かと言うとそんなことは全くないでしょう。
ここは日本で、ビジネスは日本語ですから。
でもこれからは企業サイズに関係なく英語力が必要になるのではと僕は考えます。
人口減に伴う国内市場の縮小は海外進出を企業存続の前提条件としつつありますし、付加価値の高い商品を開発できる技術力ある会社であれば、高い利益率で海外展開できるはずです。
ただそのためには英語力を主とした語学力を持った人材確保が課題になります。
つまり、英語力のある人材はますます需要が増えると思います。
「英語を使って働きたい!」と思ってもためらっているなら、まずはどんな仕事があるかをチェックしてみませんか?
外資系の求人が多い転職エージェントには非公開も含めていろいろな求人が集まりますから、知らなかった・気がつかなかった自分の可能性も見えてくると思います。
外資系だからといって全て英語で仕事をするわけではない
普通に考えればわかりますが、外資系企業と言っても社員は日本人が8割以上を占める場合がほとんどです。
会社によっては全社員の数%しかいないケースもあります。
日本人むけにサービスや商品を日本法人として提供するのだからある意味当たり前ですね。典型的な例がカスタマーサポートです。お客様は日本人なので当然会話は日本語です。
外資系の企業内サポートセンターで外国人社員が一定数いる時(通常VIP)、バイリンガルのサポート要員を専任で置く場合があります。
サーバーエンジニアや開発系は本国システムの一部として構成されている場合は英語力が必要になりますが、外資系金融機関が日銀のシステムとの接続システムを作るような場合は、日本人エンジニアが日本語で行う必要があるなど、業界によって特殊な事情もあります。
外資系IT企業が顧客である日本企業の国内システムの入れ替えや構築を担当する場合も、日本語でのやりとりが基本になります。ただし、契約書や仕様書は英語・日本語両方で作成されるケースもあります。運用マニュアルはお客様向け納品物にもなりますので日本語が普通です。
英語が必須になるケース
例えば日系企業プロジェクトや運用体制を作る場合でも、海外支店を含めたインフラ統合プロジェクトなどでは、海外との連携が必須ですから基本全て英語になります。
では、この時も日本側の現場エンジニア一人一人が全て英語力を持たなければいけないのでしょうか?
理想でしょうけど、そもそもバイリンガルのエンジニアは本当に少ないので非現実的ですね。
つまり、技術力やコミュニケーション能力が同じであれば、リーダーとして選ばれる可能性が高いのは英語力のあるエンジニアということにもなりますね。
外資系IT企業が日系企業にシステム運用サービスを提供する場合に、英語が全くできないエンジニアもたくさん働いていました。
英語力が求められるのは本国や上司が外国人の場合に、チームリーダークラスですね。
特にサーバー・ネットワークエンジニアなど海外との連携が重要になる職種の場合リーダークラスの上級エンジニアには技術力と英語力の両方が求められます。
そもそも日常的に英語を使うITエンジニアは1%程度とも言われていますので、大量に募集しても見つかりませんし、予算的にも難しいです。
英語は技術同様身につけて自由に使いこなせるのに時間がかかります。にもかかわらず、英語を学ぶエンジニアはまだ圧倒的に少なく、需要は増え続けるわけですからいつでも極度に不足しているんです。。。
逆に言うと、せっかく外資系に入っても英語を学ばず日本語だけの仕事を続けてしまうとキャリアアップにもスキルアップにもならないので、将来ジリ貧になる可能性が高いと言えますね。
また、英語ができれば外資系への転職がカンタンになるわけではありません。
あくまでも「チャンス」が広がるだけですから、自分のキャリアと実力を客観的に採点しておくことが失敗をしないためのコツです。
エンジニアに求められるの英語力はまず読み書き
外資系企業でシステムが本国の一部として構成されている場合、基本ドキュメント類は全て英語と考えてください。
技術文書なので、エンジニアとしての経歴がある程度あってTOEIC600点くらいあれば仕事で困ることはないと思います。
繰り返しになりますが、リーダーから上のポジションを狙っている人はビジネス英会話力は必要と考えてください。
特に外資系ベンチャーや設立して間もない外資系を希望する場合、本国とのコミュニケーションが頻繁に発生しますから面接も当然それを想定して上司となる予定の外国人との面接をするのが普通です。
TOIEC800以上と実務でビジネス英会話を継続的に使っているレベルがないと採用されるのは難しいと思います。
英語ができることのメリット
リーダークラスは英語力必須と書きましたが、現時点で現場のエンジニアやプログラマーだったとしても、将来的にマネジメント系に進みたいのであれば英語力は絶対に必要になりますので、まずTOIEC800を目指して勉強してください。
これから英語を始めたいと言う方向けにまとめた記事がありますので、よかったら参考にしてください。
>>ITエンジニアが年収とスキルを上げるために英語力を身につける方法は?
仕事がやりやすくなる
外資系の場合、本国側であれば日本側で解決できないことも対応可能なケースも多いので、ただ上司のエスカレーションを待つしかない状況よりはトラブル解決のスピードも上がります。
上司の負担を下げることにもなるので当然評価も高くなりますね。
選べるポジションや会社が増える
英語力を一度身につけて仕舞えば、同じ会社でのステップアップだけではなく転職の際にも選択肢が広がるので圧倒的に有利です。
もちろん、当然英語力を求めるポジションの給与は他と比べて高めなのでこの点もメリットですね。
もちろんGAFAと呼ばれるIT企業のトップクラスをはじめとして外資系IT企業はとても働きやすいです。勤務時間の自由度、在宅勤務の推奨、2週間を超える長期休暇、産休・育休など日系大手企業に全く引けをとりませんので、ぜひ候補に加えてください。
自分独自のグローバル人脈(コネクション)を作ることができる
毎日本国のエンジニアや上席マネージャークラスと会議をするわけですから、この人たちとのコネクションができます。
彼らの人脈を通じていろいろなチャンスが来ることもありますし、転職の際に推薦状を貰えることもあります。また、仲良く仕事ができたのであればリファラルとしても喜んでサポートしてくれますよ。
海外オフィスへの転勤の可能性が増える
海外で働きたい人には魅力的なオプションですね。
海外転職と違って「転勤」ですから、手続き面・費用面で会社のサポートが期待できますからおすすめです。
ただし、エンジニアの場合は相当な覚悟、技術力と高い英語力が必要です。
海外のITエンジニアは層も厚くレベルも高いので、英語力の低いエンジニアやマネージャーをわざわざ日本から異動させる意味がないからです。
また、海外オフィスへ転勤となる場合は、給与が現地に合わせて変更となり、日本円に直すとがくっと目減りする場合があるので注意が必要。
まとめに変えて 〜これから求められる英語力〜
ここまで解説してきた外資系で働く時に必要な英語力は入社時や昇進時の基準を中心とした話でした。
ここで少しだけ近未来のお話を。
最初に書いた通り、これからますます海外との取引が拡大していくので、ビジネス英語も財務や法務の専門的知識をカバーする必要があると感じています。
キャリアアップしていくには、英語での「プレゼンテーション」力がますます重視されてくると思うのです。
今20代、30代の方にはチャンスがあれば長期の留学や海外転職にチャレンジして100%英語の環境でビジネスセンスを磨いてもらえたらなぁと願ってやみません。
おまけ 〜日本における外資系企業の課題〜
今日本に何社くらいの外資系企業があるのかご存知でしょうか?
そうした企業が困っていることはなんでしょう?
これらの情報がわかれば、キャリアアップや外資系へのチャレンジに役立つかなと思って調べてみました。
情報元は経済産業省が毎年発表している「外資系企業動向調査」の2019年版です。
国内の外資系企業は3,270社。情報通信系は370社
まず業界別の内訳です。
日本にはまだまだ魅力的なサービスや商品があるのでしょう。卸売業が最多です。
IT系は370社と頑張っていますね。
報告書の概要は以下でした。
- 欧州系企業が43.2%
- 所得水準の高い日本のマーケットに魅力を感じている
- 人材確保、特に英語力のある人材調達は困難
外資系企業の課題は「人材確保」
やはりと言うか「バイリンガル」人材は全く足りていない、確保も難しいと言うことが数字に出ています。
世界中の優良企業が日本に来ていますが、人材確保に苦労しています。
転職者にとってはチャンスの状況が続いていると言えますね!