会社の将来性や成長性を評価する基準の一つとして福利厚生の充実度は、会社が社員に対してどれほど投資し、どのように人材を捉えているかを理解するための大きな手がかりとなります。福利厚生を通じて、企業の哲学や社員への思いを見て取ることができ、これが会社の未来を考えるヒントとなるのです。
この記事では情報が少ない外資系企業を例に、社員に対する投資のあり方を紹介します。
社員に投資する会社がやっていること
この記事では情報が少ない外資系を例にしてまとめてみました。
向上心のある人を選ぶ
外資系企業では、向上心のある人材を常に求めています。どれほど優れた福利厚生を提供しても、それを活用する意欲のない社員にとっては意味をなさないためです。企業は、成長意欲の高い社員を迎え、支援することを大切にしています。
社員の自己実現をサポートする
外資系企業の福利厚生の設計において、特に重要視されているのが「社員の自己実現のサポート」です。キャリアアップだけでなく、社員が人生の目標を達成するための支援を提供することに注力しています。そのため、社員だけでなく家族に対するケアも手厚く提供されているのです。
日本企業でも増えているファミリーデイや、社員が参加するボランティア活動への助成、出産・育児・介護のための有給休暇など、家族の課題を自社の課題として捉え、制度を整えている企業が増えてきています。
幅広いトレーニングと学習機会の提供
自己実現の一環として、外資系企業では自社製品やサービスに留まらない学習機会も充実しています。たとえば、MBA取得や語学研修、リーダーシップ研修などが日系企業でも一般的になっていますが、外資系企業ではさらに多様な選択肢があります。
外資系大手IT企業の福利厚生
外資系企業は常に優れた人材を求めています。LinkedInが発表した「働きたい企業ランキング」には日本企業がほとんどランクインしていませんが、これらの企業の多くは日本にもオフィスを持っています。興味のある方はぜひチャレンジして、世界水準の福利厚生を体験してみましょう。
アップル
アップルの福利厚生の特徴は、次の通りです。
・重病の家族の介護が必要な社員に有給介護休暇
・保育サービス・高齢者介護・弁護士などを探すための無料ガイダンス
・同一職種であれば男女間の給与格差はない
・教育費補助
・アップル製品の社員割引!
オシャレな福利厚生の紹介ページも、さすがAppleといったところです。
マイクロソフト
マイクロソフトの福利厚生もアップル同様充実しています。
・有給の看護介護出産休業
・ユニークな「養子休業:新しい子との絆を築くための6週間の休業」
・マイクロソフト製品トレーニング
・語学トレーニング
・障害時収入サポート保険
・マッサージルーム、メディカルルーム
・育児・介護コンシェルジュ
充実度は驚きの一言です。
グーグル
グーグルの福利厚生もアップル、マイクロソフトに負けていません。
・退職貯蓄制度や死亡給付金
・カイロプラクティック、理学療法、マッサージを受けられるオフィス
・社員が寄付を行う場合は Google も同様の寄付
・ファイナンシャル アドバイザーやプランニング サービス
・オフィスでのコーディング クラスや料理教室、学位プログラム、ギター教室
Googleのクラスはどれも非常にレベルが高そうですね。
さらに一歩進もうとしている外資系企業
先日人材への投資が遅れているために日経企業の競争力が後れをとっているという記事が日経に掲載されていました。
以下は記事からの抜粋ですが、日本でもIT業界は比較的平均年収の高い業界ですが、日系ITと外資系ITを比べるとまだまだ大きく開きがあります。
「日本のエンジニアが1カ月で書くソースコードの量は海外の2倍以上ある。それなのに給料は米GAFAの4分の1しかない」
引用:日経新聞電子版「人への投資でPBR拡大 米欧に後れ、挽回課題に」より
それは人材に対する投資がリターンとして業績に貢献していないということも言えるのかなと感じてしまいますね。
米国では人という無形資産の価値を前向きに捉えている。日本に先行してIT(情報技術)やサービス企業が台頭し、工場などの設備だけでなく、働く従業員への投資に経営資源を割いている。
引用:日経新聞電子版「人への投資でPBR拡大 米欧に後れ、挽回課題に」より
すでにご紹介した外資系IT企業の福利厚生にも含まれていますが、一般向けの製品知識を学ぶための質の高い講座は1コース数万から十数万円しますが、社員は無料で受講できるケースがほとんどです。
また、MBAや社会人大学にチャレンジする人には年間100万ほどの補助をするところもありますし、英語学習も提携した英会話スクールが社員割引で受講することができます。
こうした福利厚生に巨額の資金を投資するのは、人材の流出を防ぎ、競争力を高め、サービス品質を維持し、教育コストを下げ、業績向上というリターンがあることがわかっているからです。
市場でも「持続的な企業価値の拡大には社員育成の取り組みは欠かせない」(インベスコ・アセット・マネジメントの古布薫氏)との見方は広がっている。
引用:日経新聞電子版「人への投資でPBR拡大 米欧に後れ、挽回課題に」より
家賃補助や保養所などの福利厚生も助かりますが、社員に投資できない会社であればその理由・背景と今後の見通しを知ってくことで将来のリスクを見極める助けになるはずです。
福利厚生は単純な経済面でのサポートだけではなく、その会社の哲学や社員への想いがはっきりと現れる部分です。
「いくらもらえるか?」だけではなく、なぜ会社がその補助や支援をしよとしているかもみておくと今働いている会社や転職したいと思っている会社の将来性や成長性が見えてくるのではないでしょうか?
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