・「黒字リストラ」って意味がわからない。。。
・漠然とした不安。何が起こっているのかを知りたい
・年齢は関係ないか?それともシニアがターゲット?
・今から取れる対策は何か?
アタたも黒字でリストラってなんだよ?って思いませんか?
ものすごく不安をあおる響きで自分は大丈夫かと不安になります。
これからのキュリアプランを考える上でヒントになればと思い、事実関係、背景、対策をまとめてみました。
参考にしていただけたら幸いです。
「黒字リストラ」とは何か?何が起こっているのか?
今年は年明け早々新型コロナ禍によって本格的なリストラが始まっています。
一見新型コロナ禍が上書きしたように見えますが、「黒字リストラ」が現れた理由は残っていると感じています。
国の動き
国は、少子高齢化に伴う人手不足の軽減や年金など社会保障費の抑制を目的として、希望者全員が70歳まで働ける機会の確保を企業の努力義務とする「70歳定年法」(高齢者雇用安定法改正)を進めています。
- 2020年1月8日 厚生労働省は、高齢者の希望次第で70歳まで働くことができる制度を整えることを2021年4月から「企業の努力義務」にとして決定
- 2020年2月4日 高年齢者雇用安定法などの改正案を政府は閣議決定(2021年4月施行見込み)
※定年後の継続雇用に加えて、フリーランスや個人事業主も業務委託契約することを企業に求めるている。
大手企業による「黒字リストラ」
国が政策として高齢者の雇用を促進しようとしているのに、なぜ大手企業は「黒字リストラ」を始めたのでしょうか?
今までのリストラは概ね以下のパターンでしたが、「黒字リストラ」は質が全く異なります。
- 業績悪化→期間限定で退職希望者を公募
- 組織の若返り目的→一定の年齢に達した従業員全員を対象に公募
- 組織の最適化→大規模な組織改編やオフィスの統廃合に伴う「重複」ポジションの整理
トヨタ、NEC、富士通の例で考えてみてみます。
2019年5月、トヨタ自動車の豊田章男社長は「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言しました。
この背景にはバブル期に大量採用されたコストの高い「働かない50代問題」があるようです。
部下なし仕事も小さくやる気も下がっている。なのに年収は1200万円もらえるから辞めない50代社員が大量にいるということなのです。
「トヨタ」の看板の下で楽な仕事なのに給料は高いってなったらまあ、辞めないでしょうね。魂にも脂肪は着くんです。
さらにトヨタは経営スピードを上げるために経営層の若返りも進めようとしています。
つまり、トヨタを例にするならば、「黒字リストラ」の本質はグローバル経済とAIをはじめとする技術革新のスピードについていくための根本的な組織改革にあると言えます。
これを新卒採用の点から見ることができるのがNECと富士通の例です。
- 2018年 NECは3000人の早期退職者を募集する一方、新卒に年収1000万円をオファー
- 2019年 富士通が45歳以上の社員から早期退職を募集すると同時に、AI人材には最大4000万円の年収をオファー
古い技術しか持たずに成果も出せないシニア社員に高い給料を払っていては会社が潰れる、これから10年会社が成長し、生き残るには新しい技術を持つ若い社員を優遇しないと他社に取られあっという間に競争力を失う。。。
「働かない50代に1200万だすなら、若く優秀な社員に1200万払う」というのは至極当たり前の論理的帰結です。
そんな危機感を背景に、一般社員から社長まで「戦えない社員はいらない」というメッセージが込められているとも言えます。
一人勝ちと言われたトヨタがこれだけの危機感をもって新しい時代に臨んでいる姿が示す危機感は、一般企業のそれとは大きく差があるように感じました。
新型コロナ禍はそうした「危機感のない会社」を飲み込んでいくのではないでしょうか。
「黒字リストラ」は誰を狙っているのか?
すでに書いた通り、まずは「働かない、古い知識・技術しか持たないシニア社員」です。
その次が、AIなどの技術革新で仕事が自動化されていく総務、経理、人事、法務といったいわゆるバックオフィスやコーポレート部門でしょう。
「コストセンター」と言われますが、直接的な価値(売上)を生み出していない管理部門はリストラのターゲットになりやすく、また技術革新がそのプレッシャーを強くしています。
「黒字リストラ」に対策はあるのか?
20代・30代については、新しい技術へどんどんスキルアップしていくこと、成果を出し続ける働き方を身につけるということです。
終身雇用がなくなった今、年功序列も崩れています。
年齢に関係なく、成果出すための知識、経験、行動力のない社員は遅かれ早かれリストラ対象となります。
経済状況はこれからも変化を続けるでしょから、キャリアプランの立て方はスキルアップとキャリアパスをわけ、キャリアパスについてはあまりガチガチに決めず、3年先くらいを目印にして組み立てておき、転職エージェントと定期的に面談してキャリアプランを更新していくくらいの努力が必須だと思います。
「働く」40代・50代については、中小企業やベンチャー企業にチャンスがあると思います。
すでに若くて技術力のあるベンチャーに必要なのは、経験豊かで業界知識もあり、人脈もある中高年です。
年収については一旦ガクッと下がることもあるかもしれませんが、成長が見込める分野はスピードも早いのが今の時代です。
しっかりと優良ベンチャー、中小企業を選ぶことができれば、年収の落ち込みは一時的です久々に回収できる可能性も高いと思います。
こればかりは「No Risk, No Return」としか言えませんが、リスクをとってチャレンジを続けてきた「働く」シニアであれば気にしないのではないですか?
まとめにかえて 〜 会社というプラットフォームをどう活用するか ~
僕は10年勤めた日系IT企業を辞めて1年後くらいにかつての同僚と呑んだ際にしみじみと「自分がいなくても会社は回る、業績も上がる、世界も回る」といことに気がつきました。
僕が一方的に「依存」していただけだと気がつかされたのです。
それから僕にとって会社は自分のキャリアを作るための「プラットフォーム」です。
キャリアアップに必要であればプラットフォームを変えます。
Windowsが窮屈になったら、Macに変えるのです。
もちろん、どのプラットフォームを使っても目的は「成果」を上げ続けることです。
「黒字リストラ」は年齢を問わず、「成果こそが目的」となる働き方に変わったのだと告げるイベントなのだと思います。
この記事を読んでくださった方には、いますぐ会社、業界、業際の情報を集め、キャリアを棚おろしして、転職市場における自分の価値を査定した後、これから3年のキャリアを見直してみてください。