早期退職・希望退職・リストラの違いとメリット・デメリットを徹底解説

2019年に流行った「黒字リストラ」も衝撃的でしたが、新型コロナ禍が引き起こした不景気によって業界を問わず多くの会社が早期・希望退職を募集し始めています。

日経新聞でも毎日のように早期・希望退職のニュースは報道されていて、この傾向は当分続くでしょう。

ミドル・シニアのサラリーマンの方であれば、他人事ではないですよね?

そして悪いニュースほど突然、しかも「なぜ今?」というタイミングでやってくるものです。

この記事では早期・希望退職を迫られた時の参考に、メリットとデメリットをまとめました。

スキルアップや戦略的な転職計画=キャリアプランの立て方にも関係しますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

早期・希望退職とリストラの違い

上りと下りのエレベーター

早期退職とは?

早期退職には、2種類あります。

① 一定年齢に達したら自分の都合で申込むことができる「選択定年制」
② 会社が構造改革やコスト削減などの経営再建を目的として行い、年齢・役職・勤続年数などある程度の対象を絞って募集する「希望退職制」

です。

「選択的定年制」は自分から申し込むことになるので「自己都合」の退職となり、雇用保険の基本手当は3カ月の給付制限がありますが、「希望退職制」は解雇の面もあり、会社都合退職となるので雇用保険の基本手当の給付制限はありません。

選択的定年制のある会社によっては、自己都合ではなく「定年退職」として処理する場合もあるようです。

くまた

この場合、自己都合退職とは異なり雇用保険の給付制限がなくなりますので、会社の規則を確認するようにしてください。

リストラとは?

リストラは英語の「リストラクチャリング(Restructuring)」がもとですが、不採算部門の整理、コスト削減、成長分野への進出などを目的として行われる余剰人員の整理・解雇を意味します。

今の日本で使われる場合は「整理解雇」を意味する場合がほとんどです。

日本の労働法では整理解雇は非常に厳しい条件があり、会社側も簡単に整理解雇はできません。

リストラを強行する場合、経営が相当厳しい状況にあるか、余程のブラック企業と言えるでしょう。

早期退職→希望退職→リストラと進んでいく

企業経営の視点からは、自己判断で退職を選ぶ早期退職(選択定年制)、会社都合となる希望退職、そして整理解雇のリストラと重くなっていくことになります。

会社が選択定年制を設置したり、その利用者が増え始めているとなどの兆候が見えたら要注意です。

希望退職のメリットとデメリット

2つのダイス

リストラ(整理解雇)の前段階とも言える希望退職にはメリットもあればデメリットもあります。

希望退職のメリット

希望退職の一番の主なメリットは次の通りです。

・退職金が割増で支払われる
・会社都合の退職となるので、失業給付金がすぐに支払われる
・失業給付金の支給期間が自己都合の最長2倍の期間になる
・あくまで希望退職なので、転職時の退職理由が自分の意思で自発的に退職したと言える
・積極的に第二のキャリアを進むことができる
・再就職支援などが受けられる場合がある

一般的に「年収の2倍」というのが相場で、年収が500万円であれば通常の退職金に加えて1,000万円が上乗せされます。

大手企業の例としては三越伊勢丹ホールディングス最大5000万円などがメディアでも話題になりました。

しかし、これらは本当に「メリット」でしょうか?

希望退職のデメリット

希望退職の主なデメリットは次の通りです。

・毎月入ってきていた安定収入を失う
・転職できない可能性がある
・収入が激減する可能性がある
・年金支給額が減る可能性がある
・住宅ローンや自動車ローンに影響が出る可能性がある
・社宅の場合は引っ越しが必要。家賃負担も上昇する

これらのデメリットはすべてお金にたどりつきます。

もし十分な貯金もなく、市場価値の高いスキルや経験も低く、転職できるかどうかもわからない、できたとしても年収が下がる可能性が高いとなれば、希望退職を受けるべきではないでしょう。

くまた

特にご家族のいらっしゃる方、お子さんの学費がまだまだかかる方、親御さんの介護などがある方はこれから必要になるだろう資金を計算して、上積み退職金が足りるのかの計算はやっておくとリスクがはっきりしますのでおすすめです。

希望退職を決めた人にはどんな条件があったのか?

では、希望退職に応募した人はどんな環境だったのでしょうか。

「それでも早期退職した人たちには、事例が少ないのではっきりしたことは言えませんが、共通の条件がある・・・
(1)親は健在だが健康に不安があるので地元へUターン
(2)家業や不動産賃貸など、現役時代より少ないが地元で収入を得る用意がすでにある
(3)現在の勤務先が退職給付や企業年金に手厚い上場企業もしくはそれに準じる企業
(4)子どもがいない
  などが共通していました。」

引用:JB Press「早期退職の損得勘定と決断のポイント」より

メディアで紹介されていた記事からの引用ですが、どれをとっても経済的に余裕があったことがわかります。

もしあなたが転職エージェントなどで自分の市場価値や転職できるかどうか、できるとしたら年収はいくらになるのかを調べたことがなければ、すぐ面談を予約して現時点でのあなたの値段を知るべきです。

何も調べず、勢いだけで退職→転職しようとしても絶対に失敗します。

くまた

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2020年の希望・早期退職者募集企業数は増え続けている

風に飛ばされるたんぽぽのタネ

2019年から大手企業の黒字リストラが相次ぎましたが、今年は新型コロナ禍が引き起こした不景気によってリストラだけではなく希望退職を募集する企業が大きく増えています。

東京商工リサーチのまとめによると2020年10月29日までに上場企業の早期・希望退職者募集が72社に達しました。

上場企業の希望・早期退職募集状況グラフ
引用:東京商工リサーチ「上場企業「早期・希望退職」募集企業 前年比2倍超に急増」より

募集人数が1000人超える会社も2社あり、繊維・アパレル関連に加え、外食産業にも影響が広がっています。

昨年の黒字リストラは会社の構造改革や若返りを目的として中高年を主なターゲットとしていましたが、今年は年齢や社歴は関係なく、広く応募者を募る早期・希望退職が目立っているとこのとです。 

当然、新型コロナ禍の影響が大きい業界を顧客とする業界にも不景気は広がっていますから、今後もこの傾向が続くと予想されます。

一方で、自動車業界のように業績が回復し始めているところもあれば、新型コロナ禍が生み出したビジネスチャンスをつかんで成長している業界もあります。

特にIT業界やIT関連職種は政府のデジタル庁設立やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速によって、人手不足がどんどんひどくなっています。

くまた

入口やアプローチを間違わなければ異業種からの転職も十分に可能ですが、希望退職がアナウンスされてから焦って準備をしても転職は難しいですし、そもそも時間がかかりすぎ、失敗するリスクが上がります。

早期退職・リストラに備えてどんな準備をすればいいのか

行き先の見えない道路の先

会社が希望退職を募集するのはどんな時?なぜ?

会社はどんな理由で希望退職を募集するのでしょうか。

新型コロナ禍の前までは会社の新陳代謝や構造改革を目的とする黒字リストラが流行りましたが、今は急激な業績悪化や赤字決算のためにコスト削減のためのリストラが中心です。

しかしコスト削減を目的としたリストラは常にありますから、会社員として常に知っておくべきことは自分の会社の業績とこれからの予想です。

大きな人事異動や研究開発費の削減、部門の統廃合、業界全体の動きなどには特に注意をしておくべきですし、キャリに影響する会社の将来性や成長性についても定期的に評価しておことをお勧めします。

先手を打つためにも、自分なりの情報網を作っておくことが大切です。

家計の状況とこれからの費用と収入の予測を立てる

繰り返しになりますが、大切なことなのでもう一度書いておきます。

現時点での家計の状況と自分と家族の人生イベント(結婚、出産、介護、学費など)から最低限どれくらいの収入がいつまで必要かを試算することと転職した場合の収入を知ることです。

メリット・デメリットのところでも解説した通り、上積みされた退職金だけでは生活が成り立たなくなるタイミングが来てしまうこともあります。

万が一転職できない、できたとしても何割も年収が下がるということになれば退職金の上積みがあっても意味がありません。

転職できるのか、転職したとして給与はどうなるのかを調べる

転職に成功するために必要なものは大企業での勤務経験ではなく、市場価値のあるスキルや経験を持っているかです。

転職活動を始める前、つまり希望退職やリストラが始まる前に自分が転職できるのか、転職した場合に年収は上がるのか下がるのかを調べておく必要があります。

くまた

他の記事でも書いていますが、僕は付き合いのある転職エージェントに毎年査定をお願いしています。転職できる会社はあるのか、自分がどの程度の収入を得られるのかを調べるようにしています

自分の市場価値を知ったら足りないものを身につける

その結果をもとに、転職するとしたら自分に何が足りないのか、どんなスキルや経験があれば収入をさげずに済むのかを洗い出し、必要なアクションをとっていくべきでしょう。

自分の現時点での市場価値がわかっていれば、突然転職をしなければいけない状況になったとしても慌てずに済みますし、足りないものがあれば先に準備をしておくこともできるからです。

準備のないままに退職をしなければいけない状況になると、

・転職ができない
・できたとしてもスキルや経験が市場のニーズに合わなくて極端に年収が下がる
・同じようなキャリアを持った人が大量に供給されるるため付加価値が下がる

などいいことはひとつもありません。

くまた

会社の都合ではなく自分の都合でキャリアを組み立てることができないと、生き残れない時代です。市場価値のあるスキルや経験は身につけるためには年単位の時間がかかります。

常に今の自分の価値を値踏みするくらいでちょうどいいのではないでしょうか?

まとめ

残り少ない砂時計の砂

ここまでの内容をまとめます。

・早期退職は自己都合、希望退職は会社都合となる
・どちらの場合も退職金は上積みされるが、希望退職の方が増額幅は大きい
・年齢や家族構成にもよるが、上積みされた退職金で十分と言えるかどうかが重要
・大企業だからと言って転職しやすい時代ではない。市場の求めるスキルや経験を持っているかどうかが大切
・市場価値のあるスキル身につけたり、経験を積むには時間がかかる。
・自分の市場価値を常に確認するクセをつけ、早めの準備をすることが大切
・早めの準備をするには希望退職が募集されてからでは遅い。自社の業績や業界の状況は常に把握すべき

同じ業界で希望退職募集が続くと、あなたと同じスキル・経験をもった人が大量に市場に出てきて付加価値が下がることは間違いありません。

現時点で会社の先行きに不安を感じているなら、すぐに自分の市場価値を査定してスキルアップ、キャリアチェンジに備えましょう。

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