この記事の概要
・IT人材の不足はこれからも拡大するため、スキルと経験を上げることで仕事に困ることはない
・終身雇用・年功序列の崩壊で正社員と派遣社員の差は小さくなっている
・あなたが希望する働き方次第で、派遣社員のデメリットはメリットに変わる
未経験の業界にチャレンジするときに運よく正社員で転職できればいいですが、経歴やスキルが足りない場合は転職に苦労しますよね。
そんな時の選択肢として派遣社員という道があります。
人材不足が続くIT業界では未経験OKの求人も多く、経験を積めば短期間での大幅給与アップも狙えますので、スキルに自信がない方にとって悪くない選択です。
この記事ではIT派遣エンジニアとして働く時のメリットとデメリットとおすすめの職種を紹介します。
IT系職種では正社員と派遣社員の差は意外と少ない

結論から言えば、IT系職種の場合は正社員と派遣社員にはそれほど大きな違いはありません。
・IT系派遣エンジニアの時給は高く、同業界・同職種で時給の高い会社を選ぶこともできる
・終身雇用が崩壊し、正社員といえどもリストラ対象になるから解雇リスクという点では同じ
給与が変わらず解雇リスクも同じであれば、あなたの戦略的な転職計画=キャリアプランと派遣社員という働き方がマッチすればデメリットはほとんどないと言えます。
とはいえ、差がないわけではないですし、人によっては重要な違いになります。
あなたが望む働き方やゆずれない条件が派遣社員という働き方と合うかどうかが大切なポイントです。
ITエンジニアとして働くときの労働契約の種類

ITエンジニアとして働く場合、正社員や派遣社員の他にも種類がありますので、紹介します。
正社員、契約社員、パート・アルバイトは法律上会社との「直接雇用」で、派遣社員は派遣会社が仲介するので「間接雇用」になります。
直接雇用の場合、その会社から名刺や携帯電話、ノートパソコンなどが支給されますが、派遣社員は「他社の社員」なので通常支給されません。
正社員
期間の定めのない労働契約。読んで字のごとく、終身雇用を前提としていて、転勤や異動がある。管理職になるためには正社員しかない。
契約社員
期間の定めのある労働契約。会社と直接雇用契約を結びます。1年更新が原則で、1年後に契約更新しなければ「解雇」ではなく「解約」になります。
以前はパート・アルバイト→契約社員→正社員とステップアップして行くこともありましたが、最近はほとんどないと思います。
パート・アルバイト社員
契約社員同様会社と直接雇用契約を結びます。正社員・契約社員・派遣社員と異なり、1日の労働時間が短い場合が多い働き方です。
派遣社員
派遣会社に登録して仕事が決まると、労働者と派遣会社間で無期・有期の労働契約を結び、派遣会社が派遣先会社と「労働者派遣契約」を結んで、派遣社員として派遣先会社で働く働き方です。
1ヶ月〜6ヶ月の任意の期間で契約し、継続する場合は期間・時給について交渉可能です。
個人事業主
労働者個人が事業主として会社と「業務委託」や「請負」契約を結ぶ働き方です。労働者自身で営業し、契約し、請求する必要があります。
経費処理ができる点と自分で自分の値段を決めることができることがメリットではありますが、病気や怪我で働けなくなると収入がゼロになるリスクがあります。
IT派遣エンジニアとして働く時のメリット・デメリット

ITエンジニアとして働く時、正社員と派遣社員の主な違いを次の6つの点から紹介します。
・社会的信用力
・雇用の安定
・給与
・異動・転勤
・スキルアップ
・キャリアアップ
社会的信用力
正社員と派遣社員の一番の違いは「社会的信用力」です。
正社員の「期限の定めのない労働契約」は、生涯一定の給与が支払われることを会社が保証するわけですから、金融機関は融資しやすい=信用があるということになります。
終身雇用が崩壊しつつあるとはいえ、不景気になれば真っ先に契約が切られる可能性の高い派遣社員は長期間の信用は得にくいといえます。
雇用の安定
派遣社員の一番のデメリットが雇用が不安定という点です。
景気の良いときは問題ないが、不景気になって真っ先に削られるのが外注費=派遣社員や個人事業主との契約です。
経験値やスキルが低いときは短期間で契約を打ち切られる可能性もありますし、労働者派遣法の改正により同じ職場で3年以上働けなくなりましたので、戦略的な転職計画=キャリアプランを立てておかないとキャリアやスキルを上げることが難しくなってきています。
しかし、人付き合いが苦手な人の場合、派遣社員であれば比較的気軽に会社を変えることができますから、不安定=デメリットとはいえない場合もあります。
給与
基本給だけで比較した場合、正社員との間に大きな違いはないが、ボーナスが支給されます
また資格手当、住宅手当、教育手当などで年間で数十万円から100万円程度プラスで支給されることも正社員のメリットです。
派遣社員の場合はスキルが上がれば時給アップ交渉ができるますし、気に入らなければ同業界・同業種・同職種で時給の高い会社へ移ることも可能ですから、給与を自分の意思と行動と選択で上げることができるという点はメリットでしょう。
この結果、正社員のように手当や福利厚生がなくとも時給の高い仕事であれば年収は正社員以上なることも多いですし、派遣会社によっては加入している健康保険組合の福利厚生施設を利用できますので、以前ほどの差はなくなっています。
異動・転勤
社会人にとって自分や家族の人生に大きなインパクトのあるイベントが異動や転勤ですが、派遣社員の一番のメリットは、会社を選べることに加え異動や転勤がないことです。
仕事内容の変更がある場合も、内容によっては断ることもできるし、難易度や責任が上がる場合は時給アップの交渉ができる。
働く場所を選ぶことができるという点は派遣社員のメリットですが、最近大手アパレルメーカーや外資系の正社員も望めば「転勤なし」を選べるようになってきています。
スキルアップ
会社が提供する各種のトレーニングや研修は受けられないが、派遣会社によっては登録し稼働中の派遣社員向けの無償トレーニングを提供している会社もあります。
また、有償の場合も一部補助が出たり資格取得補助がある会社もあります。
しかし、IT系職種の場合は独学と仕事でスキルが磨かれる部分が大きいので、あなた自身が時間とお金をスキルアップに投資することが一番重要です。
キャリアアップ
勤めている会社でリーダー職や管理職にはなれない点は派遣社員のデメリットです。
ここ数年、年功序列や終身雇用が崩れ、サラリーマンの働き方も大きく変わりつつありますので一概にどちらが良い・悪いとはいえなくなっていますので、具体的な条件は求人内容を確認・比較してください。
労働者派遣法の改正により同じ職場で3年以上働けなくなりましたので、戦略的な転職計画=キャリアプランがより大切になりますので、十分注意してください。
社風や人間関係が合わなければ契約を更新しなければいいだけなので、正社員の転職に比べると気軽な面があります。
もちろん、プロジェクト型の派遣のように期間限定ではなく半年から1年程度の長期間の派遣契約を1〜2ヶ月ですぐやめてしまうことを繰り返すと派遣会社から敬遠されていい求人が来なくなる可能性もありますので、注意してください。
IT系職種のおすすめは?
IT人材の不足は新型コロナの影響や政府のデジタル化推進政策だけではなく、今が古い技術と新しい技術の「転換点」にあることも影響しています。
その点で、少なくともこれから5年程度は全てのIT系職種で人が不足する状況が続きますので、短期的にはどのポジションを選んでも間違いではありません。
あなたが未経験であれば以下の詳細記事をぜひ参考にしてください。
ただし、あなたが20代〜30代中盤の場合はこのIT技術の転換がこれからのキャリアに大きく影響しますので、消えていく技術ではなく伸びていく技術を身につけられる仕事・ポジションを選ぶべきです。
その点については次の詳細記事で紹介していますので、ぜひキャリアビルディングの参考にしてください。
まとめ

ここまでの内容をまとめます。
・IT人材の不足はこれからも拡大するため、スキルと経験を上げることで仕事に困ることはない
・終身雇用の崩壊で正社員と派遣社員の差は小さくなっている
・あなたが希望する働き方次第で、派遣社員のデメリットはメリットに変わる
IT派遣エンジニアは、
・仕事の選択肢の多い
・会社や業務が合わなければ正社員の転職に比べれば短期間で「自分に合う」会社や仕事を探すことが可能
であるなどメリットがありますが、年齢や現在のスキルによっては制約もあればデメリットもあります。
例えば、2〜3年後にはスキルアップしては正社員を目指したい場合でも、20代にとっての3年と40代にとっての3年は意味が違います。
また、短期間で仕事を気軽に変えられることは、やり方によっては信用を失いやすいということでもありますので、キャリアプランを組み立てて無駄とリスクの少ない選択をしてください。
コメント