この記事の概要
・経営層がデジタルトランスフォーメーションに本気になれば、IT人材はさらに不足する
・DXによって、デジタル関連の知識やスキルが求められるのはITエンジニアだけではなく、一般社員も同様
・IT人材はIT企業やベンダーが供給していたが、これからはユーザー企業が自ら採用し、育てるようになる
・IT人材の大移動、争奪戦が始まる?
キャッシュレス、AI、IoT、自動運転、デジタルトランスフォーメーションなど最先端の技術やサービスのニュースがたくさん流れ続けてきました。
でも新型コロナが発生して、僕たちの生活がまだまだ「紙」と「ハンコ」で動いていたことをあらためて思い知らされましたね。
実は、この状況ははるかに深刻で、日本という国の競争力を奪っていることをご存知でしょうか。
先日外資系コンサルティングファームのマッキンゼーが「デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ」という緊急提言を発表しました。
この提言の中で、
・現在の日本の立ち位置
・日本企業がどう変わるべきか
・日本企業がDXを成功させるカギ
などがデータをもとに語られています。
中国、アメリカ、ドイツなどの先進国と日本を比較しながらとてもわかりやすく問題点をあげて解決策を説明していますが、経営層向けの内容なので、実際に現場で働く僕たちの生活にどう影響するかについてはノーコメントです。

この記事では、経営層がデジタルトランスフォーメーションへ本腰を入れて会社を変えようとしたときに、僕たちの仕事の将来がどうなっていくのか、そのときにどんなキャリアを組み立てていったらいいのかついて考えてみたいと思います。
デジタル変革で何が起こったのか

マッキンゼーの提言の順番とは異なりますが、まずデジタル変化を進めた企業で何が起こったのかをみてみましょう。
日本企業のDX成功事例
日本企業のデジタル変革成功例では、以下の効果がありました。
・生産性が10〜15%向上
・売上が5〜10%向上
また、デジタル変革を積極的に進めている企業とそうでない企業では、下図のように成長率や利益率に3〜4倍の開きがあります。


ここまでの差があると、数年で市場シェアの勝負が決まるのではないでしょうか?
つまり、会社の成長性や将来性を考えるとき、経営層がデジタルトランスフォーメーションにコミットしているか、投資をしているかを知ることが、あなたのキャリアビルディングでとても大切なポイントになるということです。
日本の立ち位置と僕たちの立ち位置

この提言ではサービスのデジタル化が各国でどの程度進んでいるのかがまとめられています。
非接触型サービスの拡大
下の図はデジタルサービスや非接触型のサービスの展開・利用状況を主な先進国を中心にまとめていますが、日本だけ明らかに展開が遅れ、利用が進んでいません。

もちろん、感染率の低さなどが僕たちの行動に影響している面もあると思いますが、そもそもサービスや商品がなければ利用できませんし、買えませんよね。
最近のニュースで、外資系自動車ディーラーが来店しなくても自動車の購入手続きが全て完了するサービスを始めていましたが、こうした取り組みが他国に比べて日本は遅れています。

つまり、サービスがデジタル化すると雇用=仕事も変化するということを覚えておく必要があります。
デジタル変革がうまくいかないワケ
ではなぜデジタル変革は会社内でうまくいかないのでしょうか?
マッキンゼーの調査でもデジタル変革がうまくいったのはわずか16%で、製造業やインフラ業界の場合はさらに低くなってしまいます。
その原因の内訳が下の図になります。

主なものは次の5つです。
① 経営層がデジタル変革を自分の課題にしていない
② 会社の文化にあっていない
③ デジタル技術を理解できていない
④ デジタル技術を支える人材が社内にいない
⑤ 組織間の壁がデジタル変革を邪魔している
最初に触れた通り、この提言は経営層向けのものなので少しづつリーダーが取るべき行動の説明に移っていきますので、ここではこれ以上踏みこみませんが、①〜③の課題が解決すれば、一番のチャレンジは④の人材に移ります。

つまり、一般社員であっても今以上のITスキルを求められることになりますから、あなたのキャリアにも影響する可能性大です。
もし社内を見回して他人事のようにデジタルトランスフォーメーションを語る管理職や役員ばかりなら、転職するタイミングかもしれない。。。
デジタル関連投資額が語る日本の現状
デジタル変革が進まない理由を証明しているのが下の図です。

過去25年間、日本のデジタル関連投資額はほとんど増えていません。

つまり、デジタル変革に十分な人材もお金も投資されていなかったといことですね。。。
そりゃ、IT人材不足が続くわけです。
では、その少ないIT人材はどこにいるのでしょうか?
IT人材やエンジニアはどこにいる?
日本と諸外国の格差の中で、もっとも目立つ違いがITエンジニアの所属組織の違いです。
下の図でもよくわかりますが、海外の場合ITエンジニアの70%がユーザー企業に所属していますが、日本の場合は真逆で70%がIT企業つまりベンダーやSIerに所属して、ユーザー企業からIT業務を外注されています。

この状況の問題点は次の3つです。
・ユーザー企業側にIT技術や知識が残りにくく、IT人材が育たない
・業務の中核をIT企業に依存している
・結果として、デジタル変革を進めるための人材も育たない
生き残りをかけてデジタル変革を進めようとしている会社の中には、この問題点を解決するために、IT企業やベンダーへの外注を減らし、自社のシステムを自社が中心となって開発する体制を整え、そのための人材を積極的に雇い始めています。

つまり、ITエンジニアの大移動が始まるきっかけにもなるわけですね。
まとめ

ここまでの内容をまとめます。
・経営層がデジタルトランスフォーメーションに本気になれば、IT人材はさらに不足する
・DXによって、デジタル関連の知識やスキルが求められるのはITエンジニアだけではなく、一般社員も同様
・IT人材はIT企業やベンダーが供給していたが、これからはユーザー企業が自ら採用し、育てるようになる
・IT人材の大移動、争奪戦が始まる?
新しい分野にチャレンジしたいなら、1年や2年ではキャリアになりませんから、先送りすればするほどチャンスは逃げていきます。
あなたは今日何を始めますか?
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