転職しても給料が下がってしまわないか不安ですよね?
僕自身、転職の時、期待通りに年収が上がるかどうかがすごく気になりますし、仕事の内容と同じくらい重視しています。
厚生労働省が「転職入職者の賃金変動状況」という統計資料を毎年発表していますが、それによると6割の人は転職後の年収が同じか下がっています。
逆に言えば4割の人が転職で年収が上がっているわけですが、あなたはこれを高いと考えるでしょうか、低いと考えるでしょうか。
実はこの資料をよく読むと、純粋に下がっている人は3割です。
つまり、年収が下がる人よりも上がる人の方が実質的には多いということになりますね。
この記事では、年収が下がるケースと上がるケースの原因を解説しつつ、転職の年収交渉で失敗しないポイントや年収ダウンを防ぐためのポイントを解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
転職で年収が上がるケース、下がるケース

ここからは具体的にどんな理由で給料・年収が上がったり下がったりするのかについてみていきたいと思います。
転職で年収が下がるケース
次に転職で年収が下がる理由について解説します。
転職で年収や給料が下がる場合は次の6つのパターンです。
①未経験、異業種に転職する
未経験での転職や異業種への転職の場合は年収や給料が下がるケースが多くなります。
それは仕事で成果が出せるようになるまで企業としては投資になる、つまり社員育成コストがかかるからです。
この年収ダウンを防ぐ方法がないかと言えばそうでもありません。
例えば同じスキルを持っていたとしてもより希少性の高い英語力や他のポータブルスキルとの組み合わせで市場価値が高くなる場合です。
市場価値が高ければ、未経験や異業種への転職でも年収がアップする可能性はあります。
どうしても年収や給料を下げたくない場合は、事前にそのポジションや業界で「希少性が高いと評価される能力が何なのか」について調べ、身に付けておくことがポイントになります。
希少性の高い能力や経験もない語学力もないとなれば、未経験・異業種への転職は年収が下がるリスクが高くなりますので気をつけてください。
②役職やポジションが下がった
次に転職で年収や給料が下がるケースとしては管理職だった人が一般職のポジションが下がる場合です。
これはある意味当然ですが責任が軽くなった分求められるスキルや経験が下がるわけですから、それに応じた市場の価格に年収や給料が揃えられると言うことになります。
ただし、営業職の場合はことになります。
営業職の場合年収に占めるボーナスの比率が高く設定される場合がほとんどですので、結果を出せば年収は上がることになります。
前職で管理職と一般職の重要さが少なくて残業が非常に多かったような場合は、転職後の会社で残業代がきちんと支給されると年収は下がらない、逆に上がるケースも出てくるかもしれません。
この辺は会社ごとに事情が変わってきますので、面接で質問したり事前の調査で確認しておくべきポイントですね。
③転職先の企業や業界・職種の平均給与が低い
次のケースは、転職先の企業や業界職種の平均給与が低い場合です。
日系企業の場合によく見られるケースですが、横並びの人事制度を とっている場合あなたの給料だけ突出して高くする事は絶対しません。
いくらスキルが高いからといって同じ社員間で100万、200万という収入差は生まれにくいと思います。
こうした会社の 人事制度上の上限と言うものがありますのでこの点も面接や人事への質問の際に必ず確認べきです。
転職先の業界や会社の平均給料は簡単に調べることができますので必ずチェックしておくようにしてください。
④年収交渉しなかった

僕個人としては、転職で年収交渉をしないというのはあり得ません!
ふつう転職は数年に一回歩かないかの年収大幅アップのチャンスです。
数万〜数十万単位なら昇進で年収アップすることはあるでしょう。
でも数十万〜数百万単位の年収アップは転職の時だけです。
提示された金額を鵜呑みにせず、その根拠を詳しく聞いて他社のオファーとの違いを指摘しながら妥協できるラインまで持っていきましょう。
交渉のポイントは、次の2点。
この違いを知ることで、転職した場合の年収アップ幅がある程度想像できると思います。
他社の評価がより高い場合は、その金額と根拠を説明して交渉します。
本命の会社が他社よりも低い年収金額を提示してきた時にどちらを選ぶかについては、あなたにとって優先すべきはお金なのか、やりがいなのか、手に入るスキル・経験なのか、ポジションなのかによって決めればいいと思います。
年収が上がることは大切ですが、それ以上に本当に欲しいものが手に入るかどうかがより重要です。
目先の小銭に目がくらんで、あなたのキャリアや人生にとって価値のあるもの・手に入れたいものを失うことのないように冷静に判断してくださいね。
⑤賞与・諸手当の確認不足
転職して年収が上がると思ったのに大きく下がってしまったという人に多いのがボーナスや諸手当を含めた「理論年収」で計算してしまうパターンです。
ボーナスも手当も会社の方針や人事制度が変われば給料に大きく影響します。
特にボーナスはあなたの成績が抜きん出てよかったとしても、会社業績が大きく下がった場合は期待する金額に届かないこともあります。
また、通常入社からボーナス支給日までの在籍間で按分されて支給されたり、入社後3ヶ月以上経過しないとそもそもボーナスが支給されなかったり、会社によって支給条件が異なります。
この点を確認し忘れて理論年収がそのまま実年収になると期待してはいけません。

僕が年収交渉の時に「基本給」を一番重視するのはこれが理由です。
成績も会社の業績も人事制度の変更もあなたがコントロールできるものではありません。
自分でコントロールできないものに期待してもリスクが高いだけです。
賞与や手当はモラたらラッキーくらいに考えておいて、生活の基盤は基本給をベースに考えましょう。
⑥いまの給料が高すぎる
これもある意味不幸なのですが、早期退職制度などで大手上場企業から転職する場合や、外資系から日系に転職するとき、管理職から一般職に起こりがちなパターンです。
国税庁の民間給与実態統計調査によると、年収1000万円以上のサラリーマンは3.6%です。
つまり、96.4%はそれ以下の年収で働いているわけです。
あなたの年収がすでに1000万円を超えていて転職で基本給アップを狙うには、転職候補先の絞り込みとあなたの市場価値のドライな査定が重要になってきます。
どの程度の年収アップが期待できるかは、転職エージェントなどの転職サービスを使わないとなかなかわからないと思います。
なぜなら、1,000万円を超える年収のポジションは通常課長以上の管理職なので非公開求人となりやすいからです。
転職は椅子取りゲームですから、情報が全て。
ライバルが持っている情報を手に入れないと勝ち残れません。

ブランドやネームバリューだけで応募先を決めずに、必ず自分の現在価値と転職して年収アップが可能な企業を転職エージェントを活用して洗い出してください。
年収が下がってしまった時の対応策
結果として年収が下がってしまうことがわかったら、生活を守るために対策を練らなければいけません。
選択肢としては、次の2つです。
生活レベルを落とす
収入が減ったのであればそれに見合った生活レベルに落とさないとどんどん蓄えが減り、将来の貧困リスクが高くなるだけですよね。
「一時的なことで、来年には年収アップする」という考え方もありますが、それと同じくらいの確率で会社の業績ダウンも起こり得ます。
年収アップを確実なものと考えて生活レベルを落とさずいたら、業績ダウンで収入は減ったままになったとなれば相当まずい状況になります。
最悪を想定して、今できる防衛策があるならすぐに実行に移すべき。
光熱費の節約、スマホを格安プランに変える、食費を見直す、習い事を減らすなどできることから始めましょう。
いずれにしろとても切ない選択肢です。
特にお子さんがいる方は、習い事を減らすことは相当苦しい決断ですよね。

そんなことにしないためにも、転職活動の初期の段階で何をいつ誰と確認して交渉にのぞむかを決めてけば安心できると思います。
収入源を増やす
副業・複業を始めるサラリーマンが増えていますが、個人的にも賛成です。
会社の寿命は意外と短いですし、いざリストラ・解雇となった時に収入の全てを会社に頼っているとあっという間に路上生活する未来がやってきます。
ただし、向き不向きがあること、ある程度時間を割かないと結果が出ないことから、あなたが置かれている状況によってどんな副業をやるのか、やらないのかを決めなければいけません。

個人的には副業・複業だけではなくて、資産運用も学んだ方がいいと思います。お金に働いてもらうスキルのある人はやはり生活防衛力も強いですね。
就職促進定着給付を使う
転職後に年収が下がった場合、一定の条件のもと雇用保険から手当が支給されます。
就職促進定着手当と呼ばれる制度で、再就職手当と合わせて転職する人を支援する制度です。

旦那の転職・チャレンジは応援したい、けど生活レベルを下げることには不安があるという奥様を説得する材料になる、かも?
年収が上がるケース

年収が上がるケースも紹介しておきます。
主なパターンは次の4つです。
①需要があるのに人がいない
短期で次の仕事が見つかりやすくてかつ年収・給料が上がりやすいのが、人材が足りていない場合です。
当たり前の話ですが、ポジションはたくさんあるのに候補者がいなければ奪い合いになりますよね。
ある意味オークションみたいなものです。
とは言っても適正化価格もあれば予算もありますから、会社の規模や不足の程度によって上限は出てくると思います。
欲を出しすぎると貴重なチャンスを失うことにもなりますので、ほどほどに。
②管理職以上のポジションにキャリアアップできた
一般社員から、リーダーやその上の管理職に上がるときも年収・給料は大きく上がります。
これは求められるスキルに人事労務管理やコスト管理が加わり、より広い経験と知識が求められるからです。
ポジションが上がるほどにその数は少なくなり、経験者も減りますから絶対数は一般社員よりも少なくなります。
①同様希少性が出るケースも多いですね。例えば管理職で英語を求められる場合は年収がグッと上がります。
③スキル・経験値が高い
ITエンジニアや技術者、職人さんなど特殊な技能や普通よりも一段高いレベルのスキルを求められたり、身につけるために一定以上の年数・経験が必要となる仕事も年収・給料は上がりやすいと言えます。
例えば一人前として認められるために10年かかるのが普通というような職の場合は30代前半になりますから、転職者として市場に出てくるのは他の仕事よりもずっと遅くなります。
結果として、よく言われる35歳転職限界説には当てはまらないことになりますね。
同じように、そもそも転職者の数が少なくてスキルや経験を身につけるために一定年数以上かかるような職種の場合は年齢の壁を越えやすくなります。
④賞与・諸手当・基本給を区別してしっかり年収交渉をした
見落としなポイントですが、スキルや経験、役職意外に年収・給料を左右するポイントとして「転職時の交渉」があります。
奥ゆかしい日本人の場合は提示された金額にそのままサインしてしまいそうですが、そんな勿体無いことはやめましょう。
もちろんどうしてもいきたい会社以外は転職するつもりもない、どんな条件でもいいという場合は別です。
そうでなければ、必ず他の会社からのオファーと比較して交渉すべきというのが僕の考えです。(内定が1社しかもらえなかった場合はこの方法は取れませんが・・・。)
他の記事でも解説していますが、会社によってボーナスの支給条件やタイミングは異なりますから、初年度の年収がどう影響受けるかについても必ず確認してくださいね。
年収ベースでは上がったけれど基本給は同じか下がっているような場合は、ボーナスの支給額で年収が大きく変わってしまいます。
転職に後悔するようなケースもよく聞きますから、必ず支給条件を確認して納得の上雇用契約書にサインしましょう。
交渉で失敗して年収ダウンしないためにやるべきこと

すでにご紹介した内容と重なるポイントもありますが、転職の際に年収交渉で失敗したり、交渉のコツを知らずに年収ダウンしないためのポイントをまとめておきますので、参考にしてください。
市場価値の確認
年収交渉で失敗しないためのポイント一つ目は、業界・職種の平均年収を知ることです。
どんな会社も新しく人を採用する時には予算が必要です。
予算はある程度の幅を持たせて確保されますが、基準になるのは市場の価格です。
500万で雇える人に1000万の予算は当てません。
年収交渉のスタートはこの市場や会社が持っている基準金額ですから、あなたの希望がその年収レンジに入っているのかどうを知っておくことが交渉するためにはとても大切なポイントになると思いませんか?
つまり、平均年収があなたの年収よりも高く、成長している業界で自分のできる職種を選ぶことが年収アップの前提条件になります。
自分と同レベルの人の転職後の年収を調べる
年収交渉で失敗しないためのポイント二つ目は、自分と同レベルの人の転職後の年収を調べることです。
これは予想値というより実績値に近いですね。
例えば、あなたと同程度の年収の同僚があなたの希望する業界や仕事に転職して年収がどれくらい上がるかを知ることで、あなたの期待する年収が手に入るかどうか、その確率が低いのか高いのかの想定がしやすくなりますし、交渉の基準にもなりますよね。
ただ、例のように元同僚にあなたの希望する業界・仕事に転職して年収アップしたとしても、年収を教えてくれるかどうかはわかりませんし、都合よくそうした人が身近にいるとも限りません。
ライバルがどの程度年収アップしているかを知りたいときは、転職エージェントを利用して情報を得る人が多いですし一般的ですね。
データベースとしてもとても価値があり、代わりに調べてくれるので転職エージェントはほんとに便利なんですよね。
何より自分の時間を使わずに済みますし、企業側の予算を把握していることもあるので利用しない理由はないと思っています。
いくつか紹介しておきますので、興味があれば問い合わせてみてください。

成功率を上げて効率的に転職活動を進めるための転職エージェントの組み合わせ方についても別記事「目的別おすすめ転職エージェントランキング【転職成功率を上げる組合せ方】」で紹介していますので、こちらも参考にしてください。
基本給ベースの年収交渉
年収交渉で失敗しないためのポイント三つ目は、基本給ベースで交渉することです。
これは先に紹介した内容と重なりますが、ボーナスや諸手当を含めて年収を交渉し、理論年収は上がったけど基本給は逆に下がるような場合は、自分でコントロールできない要素によって年収が大きく変わりますから注意が必要です。
例えば年収500万円の人が年収20%アップして600万になるパターンとしては次の2つが考えられます。(現年収500万の内訳は基本給が350万、ボーナス105万、諸手当が45万とします)
① 基本給は下がるけど、諸手当とボーナスでアップ
例 基本給300万+ボーナス150万+諸手当;50万
② 基本給がアップして、諸手当とボーナスを加えてアップ
例 基本給450万+ボーナス100万+諸手当50万
①の場合、業績が悪化してボーナスがゼロになると年収はガクッと下がることになりますよね。
業績が悪くなれば諸手当だって削られる可能性がありますので、家計への影響は計り知れません。
②の場合はたとえボーナスがゼロ、諸手当ゼロでも基本給は50%アップしています。
成績・業績の影響を受けない部分が大幅アップしていることの安心感はとてつもなく大きいんです。
ただし、前提として生活設計がボーナスや諸手当に依存しすぎていないことが条件です。

基本給の不足分をボーナスで補填するような生活をしている場合は、理論年収が100%達成できないと転職失敗!と後悔するかもしれませんね。
個人的には、その生活設計自体が間違っていると思います。
自分でコントロールできない要素に人生を左右されないように、転職を機会に基本給で生活を十分賄えるような設計をしてみませんか?
年収アップは基本給アップで考えましょう!
年収ダウンすると何が起こるのか?
次に年収・給料がダウンするとキャリアにどんな影響があるのかについて考えておきたいと思います。
年収・給料が下がった場合に生活が苦しくなることは誰でも想像がつくと思いますが、キャリアにどんな影響があるかまで考えている人は少ないと思うんですよね。

どんな影響かというと、一度下がった年収をもとのレベルに戻すにも上げるにも時間がかかるし、時間のロスが非常に大きいということなんです。
具体的に考えてみます。例えば、行きたい会社、やりたい仕事があって年収ダウンするけどチャレンジしたとしましょう。
覚悟の上なら全く問題はないので、純粋に収入という観点からのみ考えます。
現在の年収が500万。行ってみたいA社から提示されたのは10%ダウンの450万。同じ業界・同じ仕事でB社からは20%アップの600万です。
将来起こることは次の通り。
仮にB社で経験を積んで3年後に20%アップで転職すると720万。その差は180万で差が開いてしまうんですよね。
この差を受け入れてでも手に入れたいものがA社にある場合は何の問題もありませんが、年収を基準に見たとき、年収ダウンは取り戻すには時間がかかる、場合によってはその差が開いていく可能性があることはリスクとして理解しておきたいポイントです。
まとめ

転職で年収が下がりやすいケースを簡単にまとめます。
・転職で年収が下がる人は60%
・未経験・異業種に転職すると下がりやすい
・役職やポジションが下がると年収も下がるケースが多い
・転職先の業界や会社の平均年収が低いと下がりやすい
・年収交渉をしないと下がりやすい
・賞与や手当の増加で年収増を狙うと、期待通りに上がらないリスクが高くなる
・そもそも今の給料が高すぎる
やりがいや手に入れたいものを求めて転職することに反対はしませんが、お金でしか手に入らないチャンスや幸せを守るための手段があることも事実です。
特にご家族のいらっしゃる方は、キャリアと家族の幸せ、手に入るものと失うもの、チャンスとリスクをドライに比較して決断してください。
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