転職理由5つのパターン

私自身が転職を考え始めたきっかけは、全く異なる部門への異動でした。東南アジアへのビジネス拡張の推進に伴い、英語力のある社員が集められた中の一人だったのです。

自分自身それまでの部門の仕事に頭打ち感を感じていたので、二つ返事でOKし新しいチャレンジが始まるのですが、ご多聞に洩れず想像と現実は得てして違うもの。すぐに色々な問題に直面することになります。

自分より年の若い上司、ぶれ続ける経営層のビジョン、親会社からの制約、落ち続ける業績などなど、一見自分ではコントロールできないことが次から次へと降ってきました。

その時に縁が重なり転職することを決意するのですが、振り返るとやり方によっては解決できた問題も少なくない気がします。

転職は自分だけではなく、家族や同僚も巻き込む大きなイベントです。やり方や結果によっては、失うものも多いリスクの高いものでもあります。もし不満や問題がコントロールできるもの、解決できるものであれば転職の必要ありません。

転職でなくても解決できる問題と、転職以外に方法がない問題を見極め、転職の持つリスクとそれによって得られるだろうものを書いてみたいと思います。

本当に転職しないと解決できない問題なのか?

転職するには訳がある。これは当然です。 しかし、転職を思い立った理由や問題のそもそもの原因を振り返ることもなく転職に踏み切るのは無謀です。なぜなら同じことが転職先でも起こる可能性が高いからです。

1. 転職の原因となる職場の人間関係の悪化原因はどこ?なに?誰?

職場の人間関係を理由に転職を考える人は多いと思いますが、本質的な理由を起こっている事実に基づいてしっかり理解しないと、転職先で同じことが起こり得ますし、そうなったらまた転職しなければならないとう、負のスパイラルに落ちてしまいます。

もしあなたが「自分のことを理解してくれない」とか「話が通じない」「コミュニケーションが取りづらい」、「評価が不公平だ」という理由で転職を考え始めたのであれば、ぜひ一度立ち止まって、転職活動を始める前に客観的に原因を分析してみませんか?

「もっと早く相談していれば・・・」とか「そんな風に感じていたの?」など、ちょっと話せば解ける誤解も多いと思うのです。 小さな誤解が積み重なって、大きな問題になる前に見つめ直してみましょう。

2. 給与が安い!上がらない! 正しく評価されていない!

常に転職理由の上位に出てくるのが給与や処遇に対する不満です。私も不満いっぱいでした(笑)。

ただ、単純に考えても、売上が年平均5%上がっていても、コストも5%上がってしまえば、利益は増えません。「実力・結果主義」の会社だとしても、賞与の比率が極端に高い営業職や部長級への昇格でもなければ、通常10%以上の給与増は期待できないでしょう。

転職で給与・年収が増えるのは、それだけの「市場価値」がある=売上・利益に貢献できると認められた時だけです。

企業にとって人材確保は「投資」です。投下資本に対して、利益回収の見込みがたたなければ、投資はしないのが道理です。

給与や処遇を考えるとき基準となるのは、実質的な手取り年収額でしょう。

月額給与は上がっても、福利厚生などで家賃補助や企業年金が無くなって結果年収が下がってしまう可能性もあると思いますので、単月・単年度ではなく、少なくとも3−5年の期間で収入がどう変化するのかを試算すべきです。

さらに言えば、給与が高ければ幸せでしょうか?

社風が合わずに気の進まない仕事を強いられた場合、また転職しますか? それとも我慢して続けられますか? 我慢できるなら、今の会社でもいいのでは?

転職は得るものもあれば失うものもあります。今まで築いた社内外のコネクションも使えなくなりますから、それによる見えにくい損失や取り戻すためのコストもしっかりと見積もっておく必要があるでしょう。

私は、この条件なら転職のリスクを考えても十分チャレンジするに見合うという金額を設定し、転職後10年間の収入額がどう変化するのかを試算して、それに見合わないオファーは断るようにしていました。

3. 会社の将来性が見えない。業績が右肩下がり? 社風が合わない!

これは個人の力ではどうにもできない要素の一つです。 入社時とは大きく状況が変わっている場合は、積極的に転職を考えてもいいかと思いますが、自分の市場価値を見誤まらないように、計画的に準備することが必須です。

業界動向や企業情報、転職トレンドを深く知る転職エージェントの力を借りて現職での実績、希望職種や業界に有利な資格の有無、専門分野といった点から経歴を棚卸した上で、自分の市場価値を客観的に評価してみるといろいろ見えていなかったリスクや強み弱みが見えてくると思います。

また、社風は勤めてみないと噂だけでは分かりにくい要素ですので、何が我慢できて何ができないのかについて洗い出し、これもエージェントに相談するといいでしょう。

私の場合は、この経験・能力が身につくのであれば、あとは大概我慢するという要素を決めて面接に臨みました。 転職後、色々細かな不満や問題はありましたが、この時決めた「どうしても欲しかった経験・能力」については着実に身に付けることができていますので、不満は残れどそれが理由でサイドの転職を考えることはありません。

他の条件もそうですが、自分にとって「これだけは譲れない」というものが何かをしっかりと確認しておくことが、転職後の満足度を大きく左右すると思います。

4. 転職でキャリアアップしたい!

私の転職理由にもキャリアアップは含まれていました。 不満というより頭打ち感や閉塞感を持っていたのです。

仕事は山登りにも似て、標高(役職)が上がると見える風景(できること)の範囲も広がっていきます。

私の場合は、

・前職で現場の経験とマネジメントの経験を積ませていただきましたので、それを基礎に新規事業開発・立ち上げを責任者としてやってみたいと思ったこと、

・海外と比べると国内の同業種の給与が半分程度であり、そうした状況を変えて付加価値をあげる手伝いをしたい

という点を基準に仕事を選びました。未経験だけれども前職を活かした転職ができたと思います。

もしみなさんが同じようにもっと経営判断を伴うような仕事や、レベルの高いグローバルレベルの仕事に取り組みたい、より高い処遇が欲しいという希望があれば転職はキャリアアップの手段として選択肢の一つとなるでしょう。

ただ、もし今の会社がすでに大会社でグローバルかも進んんでいるのであれば、「社内起業」や「社内転職」という選択肢も取りうるかもしれません。

キャリアアップ転職で考えておく必要があるのは、今がそのタイミングかということを年齢、現在の経験値、スキルセットから客観的に評価し、市場価値のどの辺に位置しているのかを把握することです。

ここで間違うと、いたずらに転職回数が増え、ただの「Job Hopper」と勘違いされたり、事実そうなってしまう可能性があるので気をつけたいところです。

5. 転職でキャリアチェンジしたい!

未経験の職種や業界へチャレンジする場合、仕事の内容が具体的なものであれば、転職先の業務とのミスマッチも少なく、パフォーマンスもしっかりと出せていける可能性が高いので問題ないと思いますが、「憧れの業界」のようなイメージ先行だと後悔し、あっという間に仕事に対する興味も失ってしまう可能性が高いように思います。

20代後半以降の転職は即戦力として期待されるのが通常ですから、評価のハードルは高くなりますし、通常は給料が下がりますので、経済面でも2、3年は報われないことを覚悟の上、家庭のある方は家族の理解を取っておくことが大事です。

さらに短期で経験を積もうと思えば、必然的に労働時間は長くなります。ライフ・ワークバランスを考えるとデメリットも多いと思いますので事前に検討し、試算すべきことがたくさんあります。

ただし、未経験でも今までの経歴やスキルが基礎として評価される場合は、積極的にチャレンジする価値があると思います。

この場合はキャリアップに近く、即戦力とまではいかないが、十分なポテンシャルがあり、比較的短期間で結果が出ると評価される場合です。

給与面でも増えることが期待できるケースもありますから、やりがい面でも報われる可能性が高いため、採用側ににとっても価値があります。

具体的には現場で経験を十分に積んだので、リーダーや管理職を希望する場合や、研究職から営業職ではあるが、技術職的な面の強いプリセールスへのキャリアチェンジなどがこれに含まれると思います。

この場合も、自分が興味を持てる仕事とは何か、それは何故か、興味が持てれば給与や将来性などの条件は問わないのか(しばらく我慢できるのか)、を考えて自分の価値観を確認することが大切です。