転職事例から考える「生き残り戦略」

1年前に中途で採用された方が退職することになり、送別会にお邪魔してきました。

この方が担当されていたプロジェクトを一時期お手伝いしていたこともあり、仕事熱心な方だったことを知っていましたから、短期での退職がとても残念で、お別れついでに理由を聞きたかったのです。

年齢は40代なかばで、外資系大手企業に長年務められていたのですが、当時の日本法人はそれほど大きくなく1,500名ほどの会社です。縁あってうちの会社に転職されたのですが、以前の担当部門のプロジェクトの規模と当社で担当いただいた規模が大きく異なり、「自分にはこの規模のプロジェクトをまとめることは無理、やりたくない」と転職を決められました。

一番の驚きは、お子さんもこれから教育費がかかるところであるにも関わらず、次の転職先を決めずに退職を選んだことでした。

最近身近で転職する人が増えてはいますが、うまく行った人が少数派なのでリスクの高い事例の分析を通じて原因を探ってみたいと思います。

何分マイナスから入りますので、やや上から目線になっていましたらご容赦くださいませ。。。

1. なぜ転職先も決まらないうちに退職を選んだのか?

この人をそこまで追い込んだ原因は何だったのだろう?

最初に書いたように、この方は今の仕事内容が自分の能力にあまり、かつ立場の変化によるプレッシャーに絶えられなくなったことが直接の原因なのだろうかと思ったのですが、更に突っ込んでいくと、自分の新しい役割への期待される成果について、なぜ「転職前に」深掘りして考え、質問して確認しなかったのかという疑問がわきました。

「まあ、今までいた業界だしなんとかなるだろう」という甘えがあったのだろうかと。。。

最大のリスクは「人ごと」になってしまうこと?

結局、転職に限らずリスク管理が必要な場合に失敗する典型的なパターンの一つですが、その行動を取ったときに「最終的に」どうなるのかということについて想像力がかけていたのです。

40代後半での転職が厳しいことを知った後も、自分は大丈夫、あるいは「なんとかなる」という根拠のない自信でその先の調査を怠ってしまい、最終的に自分や家族が抱える経済的なリスクを見誤ってしまうと、最後の最後で妥協を強いられるとても厳しい状況に追い込まれかねないと思います。

2. 自分を客観的に振り返ることの大切さ

やはり、入社後20年以上も自分のキャリアパスに疑問を持たず、ある日突然転職市場に直面する時の戸惑いは相当大きなものです。
自分の価値は甘くなりがちですし、大手に勤めていれば糖度が高くなるのが普通でしょう。

まずキャリアプランという世界地図を書いて自分の現在地を確認する

キャリアプランなくして転職成功の確度をあげることは難しいことをこの例も教えてくれています。

自社の競争力強化を目的に社員の能力開発のプランを立てる会社も多くあると思いますが、どれだけ効果があるかは疑わしいケースも多く、かつ必ずしも個人のキャリアパスに一致するわけではないように思います。

転職元の会社が満足度の高い結果を保証してくれることなどありません。
最終的には自分のことは自分でやらなければいけないことに変わりもないのです。

この場合どんなリスクがあったのか?

この方の場合、古巣のような、顧客側の居心地のいい環境に戻ることを望まれていますが、この点も甘い期待が満ちていて大きなリスクを感じます。

一つは、変化を嫌っている点です。

顧客側も日々変化の波に洗われていますから、会社規模がそれほど大きく無ければ、余剰人員を抱える余裕はなく、求められる能力の範囲や経験も広く、それを基礎に「変化への対応力」を求められるはずです。

新しい環境は誰にとってもストレスの多いものですが、そこから学んで自分がどんな成果を出し、会社や社会に貢献できるのか、自分は何を得るのかの具体的なイメージが無いのであれば、動くべきではないのです。

二つ目は、事前の準備が不十分という点です。

行き先も目的もないのにストレスだけで行動を始めていまうと、その先に待っているのは想定外の出来事だらけになりますから、更なるストレスと対処できないトラブルの嵐でしょう。

結末は推して知るべし、ということになりますね。

準備無くして選択肢=運命を選ぶことはできません。

三つ目は、年齢とスキル、つまりは自分の現在の市場価値に関する認識です。

この方の場合、転職が初めてで今までの経歴にも幅や深みが足りていません。その上、管理職としても中途半端な位置で、より若い社員が容易に代わりを務めることができるのです。

その人でなければいけない理由が薄いのです。

これは自分というブランドづくりにつながる点でしょう。

3. どうすべきかー生き残り戦略

市場の変化を予測して、スキルアップ

スキルアップには、市場変化の内容とそこで価値のあるものは何かを知ることが大切です。

具体的にどう将来を読むのかですが、新聞を定期・継続購読するのも効果があると思いますが、未来学者やコンサルタントの10年後はこうなるとか21世紀の仕事などで、今後の社会の変化を予測した本を何冊か読んでおくと、一つの評価軸になると思いますのでオススメです。

その裏付けとして、是非官公庁が発表している統計データなどの一次情報にも目を通しておくとスキルアップにもつながるのでぜひお試しください。

 生き残るためのスキルとは?

一つは複合的なスキルに育てていくことです。

例えば、事務職であればITスキルを身に付けて自らもしくは外注を使いこなして今の自分の仕事の効率化や自動化を進めて、自分は業務の範囲を広げていくなどです。

その際に、法務や財務の観点から他部門を巻き込んだ効率化などの提案ができる人であれば、相当の市場価値ではないでしょうか。

その先には業務改革のプロとしてコンサルティングへの道が拓けると思います。

一言で言うと、全体を俯瞰できる「鳥の目」を持つことができる人が生き残る必須条件だと思っています。

そこへ続く道で求められる能力はなんだろう?と自らに問いただせる「質問力」と言い換えても良いかもしれません。

もう一つは、業界における変化を知ることです。

それぞれの仕事にはその業界特有の法制度や商慣習に基づく制約や特徴があります。
加えて、関連業界との業際知識が求められることも多いと思います。

そういう知見を自らのブランド化に役立て、市場価値を身に付けられる人も生き残る人です。

例えば自動車業界であれば、間違いなくAI、つまりITとの関わりが必須になっています。
これからは飛行機との境界も薄れていくでしょう。

ここで、先程の「質問力」です。

自動車業界と航空業界の業際にどんな可能性があるのか、そこで求められる能力は何か?という質問ができる人が生き残る人ではないでしょうか。

市場変化の内容とそこで価値のあるものは何かを知る

具体的にどう将来を読むのかですが、新聞を定期・継続購読するのも効果があると思いますが、未来学者やコンサルタントの10年後はこうなるとか21世紀の仕事などで、今後の社会の変化を予測した本を何冊か読んでおくと、一つの評価軸になると思いますのでオススメです。

その裏付けとして、是非官公庁が発表している統計データなどの一次情報にも目を通しておくとスキルアップにもつながるのでぜひお試しください。

4. 市場価値を持つためのスキルアップ計画を立てる

変化の予測をしつつスキルアップを計画する場合に、特に注意すべきことを上げておきたいと思います。

年齢からくる制約

もしいま30代後半以降であれば、将来価値を上げられる可能性だけを見て、まったく未知のスキルに手を出すことはおすすめしません。

学ぶだけではなく時間とお金の投資に見合う成果(ビジネスの成果=売上や利益につながる能力)を見込めるかを計算できることが大前提です。

例えばMBAの取得は上位管理職への転職の際には評価されるかもしれませんが、時間とお金がかかりますし、外資系を狙う場合は基礎となる英語力も一定以上が必要となり、さらに投資が必要です。

その結果として見込める成果の期待値が年収5%アップという程度であれば、投資価値はあるでしょうか?

それも見込みで、手に入るのは数年後です。

20代後半から30代前半であればその後を見据えて十分な投資価値が見込めますが、40代後半ではその費用対効果は薄いと考えます。

得意分野を強化していく

自動化やAIによって自分の得意分野の仕事がどう変わるのかを見定める必要ありますが、効果的なのは自分の強みを伸ばし、また保管するようなスキルです。

この時市場の動向を踏まえた選択が重要です。

どの業界でもITの進展で自動化やAIの活用が進んでいますが、経済のグローバル化もまだまだ道半ばです。
同時に少子高齢化が進み、上記の動向を加速させている面もありますよね。

この状況下で自分の能力をどの方向に伸ばせばより市場価値を陰ることができるかを考えます。

例えば、自社の主戦場たる国内市場が少子高齢化で縮小し続けており、アジア地域への進出を加速させて行く。その後は順次中東、ヨーロッパへと言う戦略があれば、何を身に付けておくべきでしょうか。

あるいは、IT化が遅れている業界でIT技術を活用してた新規参入が相次いで、業界地図が大きく変わろうとしている時、求められる能力は何でしょうか。それは単純にIT技術だけではないはずです。

こうした問いかけを継続的にかつ深めて行くことで自分に足りないものやこれから必要となる能力に気づくことができると思います。

5. 人脈の見直し

この点は別記事でもまとめたいと思っていますが、個人的には人脈から流れてくる案件が一番質のいいと思います。

何と言っても相手は自分のことを知っていますし、その程度によっては自分のキャリアパスを踏まえた提案になっている可能性も高いからです。

とはいえ、転職の希望を伝えていなければタイミングが合わないと思いますので、伝え方、内容、タイミングについてもある程度の戦術を考えて進めておく必要はあると思いますが。。。

なにはともあれ、種を撒かないと花は咲きませんからね!